トランスポーター3 アンリミテッド
監督:オリヴィエ・メガトン
出演:ジェイソン・ステイサム/ナタリア・ルダコーワ/フランソワ・ベルレアン/ロバート・ネッパー/ジェローン・クラッベ/アレックス・コボルド/デヴィッド・アトラッキ/ヤン・サンベール/エリック・エブアニー/シルヴィオ・シマック/ポール・バレット/セーム・シュルト
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【運び屋フランク、最大の危機を迎える】
エココープ社が提示する書類にサインするよう、ウクライナの環境大臣に迫るジョンソン。彼は大臣の弱みを握っていた。いっぽう隠居生活を送る凄腕の運び屋フランクもジョンソンに捕えられ、仕事を強いられる。腕にはクルマから離れると爆発するブレスレット、助手席には赤毛の若い女性ヴァレンティーナ。事情もわからず愛車アウディを駆り、なんとか事態を打開しようとするフランクだったが、謎のベンツの追跡にも遭い……。
(2008年 フランス/イギリス)
【そこそこの仕上がり】
まぁ「無理からカーアクションに持ち込んだな」というシーンや「それでクルマが浮くなら世話ねーよ」というバカバカしさはある。でも、決して頭の悪い映画ではない。
いくつもの出来事を並行して描き、それが少しずつ観客やフランクの中で整理されていく構成の上手さ。食べたいものをあげていくことでヴァレンティーナの育ちのよさがわかるというキャラクター作りの妙。
フランクを残してクルマが走り去るピンチとか、キーを遠くへ投げられたらどうしようもないとか、設定を考えれば当然の展開もちゃんと盛り込まれているし、お話がダレないよういいタイミングで肉弾戦とカーチェイスを交互に描く。
その肉弾戦では、フランクの戦闘能力の高さを存分に見せつける。スーツやシャツを利用した格闘はなかなかに面白く(マーシャルアーツ・コレオグラファーは、パート1、パート2に引き続きコリー・ユン)、かなり細かくカットを割っているのにキッチリと連続性が保たれているのも凄い(編集はカミーユ・デラメアという若手と『ヒットマン』のカルム・リッゾ)。
カーチェイスは、ローアングルと狭い道をベースとして作られていてスピード感は抜群。カメラの前にピタリとクルマを止めるあたりも、何気に上等だ(カースタントのコーディネーターは前2作同様ミシェル・ジュリアン。撮影は『いのちの戦場-アルジェリア1959-』や『スズメバチ』のヴァンニ・フィオーレ・コルテラッツィ)。
全体としてはアンダー気味、カットを細かく飛ばし、切り換わりの際にフラッシュさせる「はやりのスタイリッシュさ」を追求した作りで、テンションの高さを持続させる。
ジェイソン・ステイサムのフランクは前2作以上に決まっていて、かつ人間味も出てきてますます魅力的に。フランソワ・ベルレアンのタルコニ警部もフランクとのコンビネーションが磨かれ、飄々とした中に頼もしさが感じられるようになった。
ヒロインのナタリア・ルダコーワも、そばかすが浮かぶ顔が意外とカワイイ(にしても首筋の「安」は何だ?)。で、ロバート・ネッパーの悪役っぷりは「やっぱこの人はこうでなくっちゃ」と感じさせる貫禄だ。
本作の特徴である「クルマから離れられない」という制限は、緊迫感と同時に“お話の広がりの狭さ”も呼んでしまっているように思えるが、パーツも仕上がりもそう悪くはない。まずはソコソコ楽しめるアクション映画になっているとはいえそうだ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント