The FEAST/ザ・フィースト
監督:ジョン・ギャラガー
出演:バルサザール・ゲティ/ヘンリー・ロリンズ/ナヴィ・ラワット/ジュダ・フリードランダー/ジョシュ・ザッカーマン/ジェイソン・ミューズ/ジェニー・ウェイド/クリスタ・アレン/クルー・ギャラガー/アンソニー・トリーチ・クリス/エリック・デイン/ダイアン・アヤラ・ゴルドナー/タイラー・パトリック・ジョーンズ/アイリーン・ライアン/デュアン・ウィテカー
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸4/技3
【ヤツらを倒し、ここから逃げられるか!?】
荒野の谷間に立つ一軒のバー。傲慢なボス、老いたバーテン、夢見るウエイトレスらのいるこの店に、今夜もバカな若者やペテン師、ビールの運搬業者、老女、兵隊といった面々がたむろしている。そこへ血まみれで飛び込んできたのは、銃を持ったひとりのタフガイ。「奴らが来る!」。その後、客たちは次々と謎のモンスターの餌食となっていく。助けが来る見込みのない中で、彼らは決死の抵抗を繰り広げ、脱出の道を探るのだった。
(2005年 アメリカ)
★ややネタバレを含みます★
【セオリー+掟破り】
新人発掘のためのシナリオ・コンテストから生まれた作品らしく、監督はこれが長編デビュー、撮影監督のトーマス・L・キャラウェイも編集のカーク・M・モーリも主にB級ホラーを手がけてきた人。
その出自から想像できる通りの仕上がり、小さな低予算B級ホラーだ。
なかなかモンスターの全貌は見せない。手ぶれも大胆な逆光も気にせず、何が何だかわからない細かなカットをつないでいく。
ホっとさせておいてドンっ。さまざまな解決策・抵抗手段を用意しておいて、それが上手く行きそうでやっぱりダメ。そして母は強し。
これらはもうB級ホラーにおけるセオリー&パターン。
躁ともいえるニギヤカなロックのリズムに乗せて、序章は短め、問答無用で登場人物と観客を物語世界へ引き込むスピード感は、イギリスの小悪党モノ映画なんかに近い。低予算でも勢いで面白く見せてしまえ、という現代風の作りといえるだろうか。
また舞台はほぼ店内に限定されるわけだが、その店内を俯瞰・見渡すようなカットはなく、地下から2階まで建物の内部構造をキッチリわからせるような撮りかたでもない。どこからどう逃げていいかという判断材料を観る者に与えず、それだけにイヤぁ~な閉塞感と緊迫感が生まれている。
ただ、外部から店内への攻撃パターンはたかが知れているから、どこからどんな風に襲ってきても想定の範囲内。来るか、出るか、と思わせるシーンも意外と少ない。むしろ対象に近めの画面構成で、血しぶきや傷やドロドロを観客の近くに置こうという演出意図がうかがえる。
つまり、恐怖より強いのは「グロい」という印象。まぁ、そのグロさもたいしたことはないのだが、ホラーというよりスプラッターとしての、これまたセオリー通りの作りといえるのかも知れない。
逆に、そうしたセオリー&パターン&ハヤリを破るような試みもある。
どいつもこいつも濃いぃけれど、主役級とはいえないキャラクターたち。それぞれに「マヌケ」とか「ボス」など、物語で果たす役割をそのまんま役名として与え、いきなりプロフィールや“観客から見た死亡予測”も提示する。それを裏切ることで、いつ誰が死ぬか予断を許さない展開を作る。
モンスターの“行為”による即時繁殖も掟破り。「年寄りは伝説や言い伝えを知っている」というありがちなプロットも否定し、それどころか年寄りは役立たずだと突き放す。人間どうしで争い、誤射によって負傷し、頼みの綱はそそくさと逃げる。テルミンを使ったサントラも、ホラーっぽくない。
で、ラストは意外と真っ当なのね、と思わせて、「おっ」と構えさせて、やっぱりハズして、それからドン。
全体として、セオリーとパターンの踏襲と人を食った部分とをミックスさせて、そこそこ上手にはまとめてある。が、結果として中途半端になったことは否めないし、「この作品にしかない味」というものもないから、カルトにもなれないだろうなぁ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント