マイケル・ジャクソン「ゴースト」
監督:スタン・ウィンストン
出演:マイケル・ジャクソン/パット・デイド/エイミー・スモールマン/レイ=フィリップ・サントス/ヘザー・イーラーズ/ケンドール・カニンガム/モス・デフ/ショウネット・ハード/エドウィナ・ムーア/ローレン・ランドルフ/セス・スミス
30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3
【怖がったほうが負け】
夜、どこかにある、ふつうの小さな町。町長に引き連れられた人々が向かうのは、町外れに建つ古びた屋敷。そこは子どもたちにとってお気に入りの場所だったが、屋敷の住人が子どもたちを脅かし、悪影響を与えていると町長は考えたのだ。大広間に現れたひとりの男性に対し、町長は「出て行かないなら力ずくでも」と脅迫する。男のほうも引かず「じゃあ怖がったほうが出て行くことにしよう」と大勢の幽霊を呼び出して……。
(1997年 アメリカ)
【ちょっと“切れ”の足りない短編or長編】
ワンアイディアで押す38分の短編。もしくは『スリラー』をワンスモア、といった感じで作られた長編ミュージック・クリップ。
モノクロ、ピュルルルーと鳴るサントラ、見下ろし気味に数人の人物を捉える画面構成、「ふつうの町外れ」といったネーミング、団体で松明を掲げて幽霊退治へ向かう展開……。
旧時代ホラーのパロディ的作りが味わえる序盤はユニークだ。
その面白さは屋敷内カラーパートに入ってもしばらく持続するが、本格的に歌とダンスが始まると、サイズやアングルの乏しさが目立つようになり、なんとなく“雑”に思えてくる。「マイケルと一流のダンサーたちが表現する『ゴースト』という曲の凄さ、楽しさ」がガツンと伝わってこないのだ。
監督スタン・ウィンストンは『パンプキン・ヘッド』でメガホンを取っているものの、もともとは特撮畑の人。そのほか、撮影は『タイタニック』やUSJ『T2:3D』のラッセル・カーペンター、編集は『パンプキン・ヘッド』のマーカス・マントン、特殊メイクは『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』などのリック・ベイカー、VFXはデジタル・ドメインと、そこそこ以上の顔ぶれだけれど、ミュージック・クリップをしっかり作り上げるだけの“切れ”のようなものは足りなかった、という印象。
ただ、何役もこなして、ひとりで“切れ”を体現しているマイケル・ジャクソンのタレント性は、さすが。
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