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2011/09/01

ホースメン

監督:ジョナス・アカーランド
出演:デニス・クエイド/チャン・ツィイー/ルー・テイラー・プッチ/クリフトン・コリンズ・Jr/バリー・シャバカ・ヘンリー/パトリック・フュジット/エリック・バルフォー/ポール・ドゥーリィ/トーマス・ミッチェル/リアム・ジェームズ/チェルシー・ロス/マンフレッド・マレツキ/アルヌ・マクファーソン/デイヴィッド・ダストマルチャン/ピーター・ストーメア

30点満点中16点=監3/話2/出4/芸3/技4

【連続殺人犯は、黙示録の四人の騎士】
 生きた人間から抜き取った大量の歯が見つかり、その後、次々と猟奇殺人が起こる。現場には常に、被害者を吊り上げる器具と「COME AND SEE」(来て見よ)の文字が残されていた。アレックスとショーン、ふたりの息子にかまってやれないことを気に病みながら、黙示録をなぞった連続殺人の手がかりを追うエイダン・ブレスリン刑事。やがて彼は、被害者の養女であるクリスティンから恐るべき告白を聞かされることになるのだった。
(2009年 アメリカ)

【役者と作りで見せる】
 チャン・ツィイーの魅力爆発。あるときは幼く、あるときは妖しく。組んだ脚とか見上げる目線とかなまめかしく動く唇とか赤の拘束着姿とかが、なんとも色っぽい。確実に『SAYURI』のときよりアブナカワイイ。
 アレックス役ルー・テイラー・プッチも綺麗な顔に微妙な戸惑いと希望を浮かべての好演。主役デニス・クエイドも、いつもとはタフガイとインテリジェンスのバランスを逆転させて、ブレスリンに説得力を与える。

 と、キャストは魅力的だが、お話としてはちょっと弱い
 ヒントや伏線を散らしてはいるものの、意外な事実に驚かされるわけではないし、動機や実行される犯罪もちょっと無理目。ストーリー/謎解きを楽しむようなタイプの映画ではない。シナリオは『DOOM ドゥーム』のデヴィッド・キャラハムなので、まぁそのへんは望み薄。
 そのぶん、作りで見せる

 冬の町の冷たい空気感、犯行現場の澱み、取調室の静けさなどを、広角を中心にシャープに捉える絵。それをハヤリの手法(SE+短いカット)でつなぎ、ミステリアスな雰囲気を作っていく。
 監督はマドンナ、U2、メタリカなどのビデオクリップを撮ってきた人らしく、撮影監督とも何度か組んでいる。そういう出自がわかる撮りかただ。
 各場面に乗っかる音楽、あるいは電話、クルマの走行音、足音、物音といったサウンドで盛り上げたり引き締めたりするのも、音楽畑を歩んできた人ゆえだろうか。

 かといってスタイリッシュ一辺倒というわけではなく、仕事が“できる”ブレスリンのキャラクター、彼と息子たちとの気まずい関係などを、説明過多にならず、きっちり見せていく手堅さもある。
 撮影、役者、音など各パーツを上手に組み合わせ、かちっと90分の短尺に仕上げてあって、面白いシナリオがあれば、このスタッフでもっと面白いものを撮れるだろうな、ということがわかる映画だとはいえるだろう。

●主なスタッフ
 編集は『ヴァン・ヘルシング』などのジム・メイと『トスカーナの休日』のトッド・E・ミラー。プロダクションデザインは『カオス・セオリー』のサンディ・コクレーン。衣装デザインは『ドミノ』のB・アカーランド。
 音楽は『ネバーランド』『扉をたたく人』などのヤン・A・P・カチュマレク、サウンドエディターは『ハート・ロッカー』などのポール・N・J・オットソン。

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