ブライダル・ウォーズ
監督:ゲイリー・ウィニック
出演:ケイト・ハドソン/アン・ハサウェイ/ブライアン・グリーンバーグ/クリス・プラット/スティーヴ・ハウイー/クリステン・ジョンストン/マイケル・アーデン/ヴィクター・スレザック/ジョン・パンコウ/ケリー・コフィールド・パーク/ゾーイ・オグレディ/シャノン・ファーバー/キャンディス・バーゲン
30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3
【親友で幼馴染のふたり、結婚式で大トラブル】
弁護士のリブと教師のエマは幼馴染で大親友。ふたりの夢は「プラザ・ホテルで6月に結婚式を挙げる」こと。もちろん、たがいに花嫁介添人を務めるつもりだ。ほぼ同時に恋人からプロポーズされたリブとエマだったが、ブライダル・プランナーのマリオンがミスを犯し、ふたり同じ日に挙式をセッティングされてしまう。「その日だけは私が主役」と意地を張るリブとエマは仲違いし、相手の式を延期させようとさまざまな妨害工作を繰り広げる。
(2009年 アメリカ)
【不足は決定的だが、軽ぅく観られる】
ケイト・ハドソンって、こんなにキっツイ顔してたっけ、というのが第一印象。『10日間で男を上手にフル方法』や『スケルトン・キー』では、もうちょっと可愛らしさがあったんだけど。母ちゃん(ゴールディ・ホーン)よりも柳原可奈子に似てきたな。彼女が演じるリブという人物も、柳原が披露する「ちょっとイケスカない女」そのものだ。
ただその人物像に、ルックス、喋りかた、視線の送りかたなどがピッタリとハマっているのは確か。
アン・ハサウェイも「気は弱いけれど、いうべきときにはちゃんといわなくっちゃね」のエマに適役。イメージ通りの役柄であることに加え、ダンスのレッスンやバチェラー・パーティーでは不恰好でハっちゃけた踊りを披露して、いままでとは違う一面も見せてくれる。もちろん、可愛い。
新郎役のクリス・プラットとスティーヴ・ハウイーは目立たないものの、もともと結婚式って女性のもの、主演ふたりを前面に押し出すためには、これくらいがちょうどいい。
そこへリブの兄役ブライアン・グリーンバーグが、ほどほどの存在感で要所要所に絡んでくる。ケンカするリブとエマを「やらせておけ」と突き放しながらも見守る姿が、本当は20年に渡ってこの人がふたりの近くでもっとも“気を張っていた”んだろうなと感じさせて、なかなかのナイスガイ。
そんな「親友同士のケンカ」を、浮かれるテンションと哀しさとを織り交ぜながら描いていく。監督は『シャーロットのおくりもの』の人。これといったポイントはないものの、いかにも若者向けコメディ的なサントラに乗せて軽快かつ無難。キャラクターだけ、あるいは出来事だけに偏るのではなくバランスよくストーリーを進めていく。
こっそり相手に忍び寄っての悪だくみ。その際、リブもエマもサングラスを着用しての下手な変装(衣装は『10日間で男を上手にフル方法』や『スクール・オブ・ロック』のカレン・パッチ)を見せる。そのクドさ、わかりやすさが特徴といえるだろうか。
かといって頭が悪いばかりではなく、iPodや「取り込み中」という伏線を生かして上手にまとめてある。
ただ、まず結末ありき、シチュエーションありきの映画、ちょっと性急さとか都合のよさが目立ち、深みや情感には欠ける。
なにより、主演ふたりの描写量が不足している。リブの中に「惚れられる対象」としての魅力が見られず、エマの気の弱さやリブに感化されて弾けていく様子もサラリとしすぎ。切っても切れないふたりの絆、というものを印象づけるシーンや展開もない。また、お兄ちゃんとこのふたりの関係ももっと盛り込むべきだったろう。
これらはすべてストーリー/テーマを考えると不可欠のものであり、そういう意味では「決定的に足りない」デキ。軽ぅく観られる短尺コメディという点を重視したために、中身が薄くなってしまったといった感じだ。
で、「結婚式は残された命の1日目」っていうのが、けっこうショッキングなセリフ。作中では肯定的な意味(結婚によって人間は生を得る)で使われていたけれど、逆にドキっとしてしまう人も多いんじゃないだろうか。
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