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2011/10/31

ビッグ・バグズ・パニック

監督:カイル・ランキン
出演:クリス・マークエット/ブルック・ネヴィン/キンジー・パッカード/E・クインシー・スローン/ウェスリー・トンプソン/リンダ・パーク/デボラ・ジェフナー/ジム・コディ・ウィリアムズ/ブル・ミュラー/イスマエル・“イースト”・カルロ/ダイアン・ガエタ/レイ・ワイズ

30点満点中16点=監3/話3/出3/芸4/技3

【ヤツらが襲ってくる!】
 不真面目さゆえ、就職したばかりの会社をクビにされたクーパー。その瞬間、彼は耳鳴りに襲われて気絶する。数日後に目覚めたのは、繭の中。巨大な昆虫が跋扈し、人々を白い糸で捕えているのだ。かろうじて逃げ出したクーパーは、上司の娘サラを救い出し、アルとヒューゴの親子、お天気キャスターのシンディらとともに、実家のシェルターを徒歩で目指す。虫どもは目が見えないからと、音を立てぬよう慎重に歩き続ける一行だったが……。
(2009年 アメリカ)

★ネタバレを含みます★

【B級あるいはC級だが、軽ぅく楽しめる】
 もうハナっからB級臭が漂う。いや、C級か。
 もともとはHD撮影の低予算映画として企画されたものだったが、アイコン・プロダクションズ(メル・ギブソンの製作会社)のプロデューサーが目をつけて“それなり”の規模にグレード・アップさせたらしい。

 といっても、やっぱり“それなり”。キャストに知った顔も名前もなく、サスペンス・ドラマやSFの脇役クラスがズラリ。この手のプロジェクトではお決まりの「ちょっと格を上げる人」も、『-less』にそういえば出ていたっけ級のレイ・ワイズだ。
 撮影監督、編集、プロダクション・デザイン、VFXもB級やコメディやTV畑の人で、そのあたりの“小ささ”が出てしまっている。全体に作りが粗くて野暮ったい。東映製変身ヒーローモノのクォリティ。

 けれど、悪くない。むしろ拾い物といいたいデキ。
 設定をクドクド説明せず、虫だ、逃げろ、ヤツら目が見えないらしい、刺されるとヤバイ、逃げろ……と、有無をいわせずテンポよく進む。ハラハラさせつつも基調はコミカルで、そのバランス感覚、緊張と緩和によって作り出される軽めのリズムが上質だ。
 地球の危機に憧れていたというイケてないクーパーが、意を決して虫退治に乗り出す。その言動が観る者の想いを代弁・代行しているようで、スンナリと世界に入っていくこともできる。

 息子を思いやるクーパーの父やアル、クマのぬいぐるみを抱えて泣くシンディなど、何気ない一瞬で心情を描く腕もあるし、このクラスの作品としてはサントラがスリリング&キャッチーで上手く雰囲気を盛り上げてもいる。
 中盤以降の怒涛の展開、父を助け出すのに躊躇するクーパー、変身しちゃった犬、サラとクーパーの出会いなど、構成やリアリティや小ネタの盛り込みかたがシャレていて、なかなかに楽しい。ヒューゴが難聴っていう設定もちゃんと生かしてあるし。

 ま、叩き潰せる程度の虫に銃が効かなかったり(ハズレたのかな)、いとも容易く爆弾が手に入ったり、さらわれたサラと簡単に再会したりなど、乱暴というか頭の悪いところもある。設定/ストーリーは全体に想像の範疇といえるだろう。原題の「来襲」というほど大群でもないし。
 けれど、そういう部分をスルーあるいは納得しながら観れば、90分という短尺もあって軽ぅくワクワクできる仕上がりだ。

 ビッグネームが関わっている映画だったら「期待して観て損」となるだろう。他人に勧めようとも思わない。が、B級としては上々。『ミミック』とか『アラクノフォビア』、『エイリアン2』あたりのアイディアとテイストを、上手くコミカル・パニックにまとめた、“それなり”に楽しくて愛すべきバカ映画といったところだろうか。

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