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2011/11/08

赤い風船

監督:アルベール・ラモリス
出演:パスカル・ラモリス/ジョルジュ・セリエル/ウラディミール・ポポフ/ポール・ペリー/レネ・マリオン/サビーヌ・ラモリス/ミシェル・ペジン

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【少年と風船】
 パリの、ある朝。小学校へと向かうパスカルは、街灯に引っかかった赤い風船を助ける。以来、赤い風船は、あるときは寄り添うように、あるときはからかうように、パスカルの後をついてくるようになるのだが……。
(1956年 フランス)

【“らしさ”の映画】
 脚本でオスカーを獲得したほか、カンヌではパルム・ドール。知る人ぞ知る的な30分強の短編で、WOWWOWで放送してくれなかったら観る機会もなかっただろう。

 さまざまなものの“らしさ”が最大の特徴だ。パリの街、朝の空気、部屋の中と外、路地、少年の行動、彼の周囲にいる大人たちと子どもたち……。サイズのバリエーションが乏しかったり古さを感じるところもあったりするけれど、それぞれが実に“らしく”捉えられ、描かれている。
 とりわけ赤い風船の動きが見事。いまならCGで処理しちゃうところなんだろうが、(恐らく)釣りによる操演が、いい具合に風船の茶目っ気や不思議さや寂しさを創出している。

 セリフを抑え、ほのぼのとスリルを交えながら、テンポよく少年と風船の道行きを描いていて、構成的にも楽しい
 階下で風船を手放し、上の階の窓からキャッチ。悪ガキどもに追われるパスカルは、ただ逃げるだけじゃなく、いったん画面の奥まで行って戻ってくる。そういう立体的な動きも面白くて、このあたりは現代のアニメとかアクション演出にも影響を与えているんじゃないか。
 少なくとも『カールじいさんの空飛ぶ家』のスタッフはもちろん、スピルバーグ(内容的にも展開的にも『E.T.』に通じるものがある)も本作を観ていることだろう。

 そしてクライマックス、渾身の長回し。このシーンからラストにかけての展開で、そうか、風船ってのは“少年らしさ”の象徴かも知れない、それを奪われることの哀しみ、哀しみから逃げることの「禁断かつ甘美な逃避行」を描くことが、本作のテーマなのかも、なんて思ったりして。
 まさしく“らしさ”の映画である。

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