バグズ・ライフ
監督:ジョン・ラセター/アンドリュー・スタントン
出演:デイヴ・フォーリー/ケヴィン・スペイシー/ジュリア・ルイス=ドレイファス/ヘイデン・パネッティーア/フィリス・ディラー/リチャード・カインド/デヴィッド・ハイド・ピアース/ジョー・ランフト/デニス・リアリー/ジョナサン・ハリス/マデリーン・カーン/ボニー・ハント/マイケル・マクシェーン/ジョン・ラッツェンバーガー/ブラッド・ギャレット/ロディ・マクドウォール/エディ・マクラーグ
吹き替え:宮本充/壤晴彦/土井美加/須藤祐実/磯辺万沙子/岡田吉弘/伊藤和晃/島香裕/田中正彦/小山武宏/相沢恵子/林佳代子/水野龍司/岡田吉弘/郷里大輔/仲野裕/佐藤しのぶ
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸4/技3
【アリvsバッタ、助っ人はサーカス団員!?】
気弱なアッタ姫が見守る中、せっせとエサをかき集めるアリたち。バッタのホッパーに“みかじめ料”を納めなければならないのだ。が、発明好きのフリックがまたドジを踏んだせいで、ホッパーは大激怒。フリックは失敗を償うべく、都会で強い虫を探し出してバッタどもを追い払ってもらおうと考える。フリックが見つけたのは、勇ましく戦うテントウムシのフランシスやコガネムシのディムたち。でも彼らは、ただのサーカス団員だった。
(1998年 アメリカ アニメ)
【バカにできない楽しい仕上がり】
ピクサーの長編3Dアニメ第2作。第1作『トイ・ストーリー』に共通するテイストとしての“好き勝手感”をたっぷりと味わえる。
ベースに『七人の侍』があって、そこに友情と勇気をまぶし、戦争映画やモンスター・パニック(どこかハリーハウゼン時代の空気が漂う)の趣もプラス。「支配の実態」へと踏み込み、『ダンボ』や『王様の剣』といったディズニーの名作へのオマージュも。
とにかくニギヤカだ。
そのニギヤカさがバカっぽさ・ウソっぽさとならないよう、フォーカス、カメラワーク、多彩な灯りの表現、霧がもたらす恐怖など、世界を立体的かつたっぷりの空気感とともに描くことを心がける。そこで動く虫や植物たちも実在感にあふれている。
虫たちのデザインは、愛らしくなるようかなり苦労したのだろう。まぁそれでもグッズが売れまくるようなキャラクターたちではないけれど、ハイムリックのイモムシっぽさ、どの虫にどんな性格を与えるか(たとえば女性に間違われることがコンプレックスのフランシス)という配慮など、フォルムにもキャラクター設定にも“細やかさ”がうかがえて、と同時に「アニメでは目の芝居が大切だ」という方針もわかる仕上がりだ。
虫たちが6本の脚を使った芝居をしたり、クモの糸、蛾の羽にある模様、生活に欠かせないが怖いものでもある水など、虫の生態・特徴・自然の摂理がキッチリとストーリー展開/シーンに結びついている点も良。このあたりは『トイ・ストーリー』でも感じたことだが、ちゃんと「おもちゃたちの物語」にするし、「虫たちの物語」にもしてみせるのだ。
また「ここがポイント!」という場面での寄りなど、見せかた・演出もさすが。とりわけクライマックスでありがた迷惑な大活躍(?)を見せるノミの団長、このスピード感と「こういう時に限って失敗しない」という事実が爆笑を誘う。
労働してますよ感を醸し出すサントラもいい。
そんなわけで、ピクサー作品の中では人気の低い映画だけれど、なかなかに面白くって優れたデキ。そうバカにしたもんじゃない。
それと、ハンガリー語をまくしたてるダンゴ虫のタックとロール。こいつらが楽しい。グリーン・エイリアンに似た“忘れがたい雑魚”的な雰囲気がプンプンで、こういうキャラをピタっと作品の中にハメ込んでしまう上手さもまたピクサーの真骨頂ではないだろうか、と感じる次第である。
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