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2011/12/20

レイトン教授と永遠の歌姫

監督:橋本昌和
声の出演:大泉洋/堀北真希/水樹奈々/相武紗季/大塚芳忠/家弓家正/折笠富美子/諸星すみれ/豊口めぐみ/井上喜久子/山寺宏一/三宅健太/中田譲治/飯塚昭三/LiLiCo/出川哲朗/納谷六朗/渡部篤郎

30点満点中15点=監3/話1/出4/芸4/技3

【レイトンのナゾ解き&冒険】
 オペラ歌手となった教え子ジェニスから相談を受けた考古学者エルシャール・レイトン教授。彼女の死んだはずの親友ミリーナが7歳の少女として蘇ったというのだ。一番弟子のルーク少年や助手のレミとともに調査を始めたレイトンを待ち受けていたのは、ミリーナの父オズロや仮面の科学者デスコールの思惑、そして古代の王国アンブロシアの伝説。レイトンたちは“永遠の生命”のナゾに迫るため、生き残りをかけたナゾ解きゲームへと挑む。
(2009年 日本 アニメ)

【ファンが喜べる要素もあるけれど】
 人気ゲーム『レイトン教授』シリーズのスピンオフ作品(というかエピソード1.5的な位置づけ)。
 ゲーム版はけっこう好き(3DS版以外は全作クリア済み)なんだが、そういう人にとってはビミョーで、それ以外の人にとってはナンだかなぁな映画だろう。

 もともとゲーム版に挿入されるアニメーションは質が高く、その点では本作も安定感のある仕上がり。シンプルで柔らかなラインのキャラクターたちが軽快・スピーディに動き、画角は多彩、CGも交えてスケールも創出。
 ゲーム版と同様セピアを基調にフンワリ+ごちゃっとしたイメージの美術と世界観は温かく、夕焼けや海面の表現も極上だ。

 キャストも、当然ながらゲーム版と同一。もはやレイトンと一体化している感のある大泉洋、これ以上ない「ナゾの悪役っぷり」を醸し出す渡部篤郎の声はガッチリと画面に馴染み、たどたどしくも懸命なルーク少年=堀北真希の声質とお芝居も微笑ましい。7歳のミリーナを演じた諸星すみれは、噂通りの上手さだ。

 と、ここまではゲーム版ファンの期待を裏切らないのだが、ストーリー/シナリオはボロボロ
 いわくありげなキャラクターたちによるサバイバル+その裏に隠された古代の伝説+蘇った少女のミステリーという内容は、クリスティ+『カリオストロの城』+ある映画(ネタバレの可能性があるため伏字)という寄せ集めの物語。まぁそれじたいは楽しいともいえるのだけれど、展開のさせかたが稚拙すぎる。
 とにかく、説明に次ぐ説明。「これはこうなんだ」「実はこういうことだったんだ」とペラペラ喋ることでお話を進めるという方法論。

 大きなナゾの真相に迫っていくレイトンたちの姿を、プレーヤーは細かなナゾを解きながら見守る、という構造のゲーム版なら、ゆっくりじっくりとその「これこれこうだったようだね」に付き合うのもいいだろう。でも映画としてはワクワク感にも説得力にもカタルシスにも欠ける。

 また、せっかく音楽が重要なキーとなっており、主要ゲストキャラがオペラ歌手という設定なのだから、ジェニスの歌パートにはもうちょっと上手な歌い手を持ってくるべきだったろう(曲のマズさもあると思うが)。
 絶対に帽子を脱がないレイトン、という設定は知っているけれど、だからといってあの高い帽子を被ったままオペラ鑑賞&上演中にベラベラとルークに説明ってのは、マナー違反。そういう小さな「?」も気にかかる。

 そんなわけで「あのレイトンやルークが長編アニメで動く」という楽しさは味わえるものの、1本の映画としての完成度としては決して高くないといえるだろう。

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