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2011/12/05

ホワイトアウト

監督:ドミニク・セナ
出演:ケイト・ベッキンセイル/ガブリエル・マクト/コロンバス・ショート/アレックス・オラフリン/ショーン・ドイル/ジョエル・S・ケラー/ジェシー・トッド/アーサー・ホールデン/エリン・ヒコック/スティーブ・ラセスク/トム・スケリット

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【南極で、死体が増えていく】
 1957年、ある荷物を載せたロシア機が南極に墜落する……。それから約50年、南極のアメリカ観測所は人員の交替と嵐の到来を前に騒然としていた。保安官キャリー・ステッコも2年ぶりの帰国を控えていたが、キャンプから離れた場所で地質学者の死体が発見される。捜査にあたるステッコは何者かに襲われ、やがて別の学者も犠牲となってしまう。誰の仕業か? 犯人の目的は何なのか? 氷に埋まったロシア機をめぐる謎とは?
(2009年 アメリカ/カナダ/フランス)

【ちょっと強引で、仕上がりとしてはバツ】
 監督は『60セカンズ』のドミニク・セナで、そっちに通じるテンポのよさが特徴。ロシア機の墜落、基地の中へ入り込んで観客を南極へと誘うカメラワーク、ケイト・ベッキンセイルの肢体=サービスショットというオープニングから、澱みなく、スピード感豊かにお話は進んでいく。

 撮影は痛いほどの冷たさをよく拾い上げていてシャープだし、どこまでも続く氷の世界からジッパーのクローズアップまで画角も多彩。吹雪の世界、その中に閉ざされた基地を作り上げた美術、SFXやVFXも、いい仕事をしている。

 ただ、そうした外観が上手く「映画としての面白さ」につながっていないという印象は強い。

 まず、基地やキャンプの位置関係、各国観測所や研究者間の“日頃のつきあいかた”といった状況・背景を、観客が感覚的に把握できるようにする配慮がない。
 視覚的にも、たとえば主要登場人物のコートの色を明確に分けるなどすれば「いま誰が誰に襲われているか」がハッキリしたはずだし、事件の影響で浮き足立つ観測所内、基地内部や周辺に置かれた設備・道具、ホワイトアウトの恐怖といった描写があれば、もっとスリルも高まったはず。
 現状では「なんとなく舞台となる場所が変わり、なんとなく捜査が進み、なんとなく退避準備が進んでいる」といった感じ。流れはいいんだけれど、その流れに乗っていくことができないのだ。

 出来事にしたって、いきなり国連の捜査官が登場、3人揃って縦穴の中に入るという愚を犯し、問答無用で総員撤去、しかも外にいると締め出され、でもドアは簡単に打ち破れるというバカさ加減。
 そもそも事件の顛末・犯人の動機は強引に過ぎるし、「誰が信用できるのか?」というサスペンスも薄く、「(人に対する信頼や自分の仕事に対する責任感、そして指を)失っても、まだある気がする」というテーマ部分も表面に浮き上がってこない。

 見た目はスマートでテンポもいいけれど、ワクワク感、ハラハラ感、意外性や妥当性などを創出できていない、という仕上がりである。

●主なスタッフ
 撮影は『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』のクリストファー・スース、編集は『フルメタル・ジャケット』『アンダーワールド』のマーティン・ハンター。美術は『ゴシカ』『リーピング』のグレアム・“グレイス”・ウォーカー、SFXは『スパイダーウィックの謎』『デス・レース』のルイス・クレイグ、VFXは『マックス・ペイン』『グレイ・ガーデンズ 追憶の館』のデニス・バラディ、『リーピング』のリチャード・ユーリッヒ。

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