ジョッキーを夢見る子供たち
監督:バンジャマン・マルケ
30点満点中13点=監3/話2/出3/芸2/技3
【憧れの騎手を目指して】
フランス。国立の寄宿制学校で、馬の世話をし、騎乗技術を磨きながらジョッキーを目指す少年たちの様子を追ったドキュメンタリー。
(2008年 フランス)
【不完全で面白味に欠ける】
お金や名誉といった“サクセス”が競馬にかかわる大きなモチベーションであると示唆される。アーカイブを多用し、競馬が長く続いている文化だということを印象づける。じゃれあったり泣いたりケンカしたり珍しいクルマに見とれたり……、見習い君たちが「フツーの少年」であることを微笑ましくうつしていく。
が、「こういう作品にしよう」という意志を感じられるのは、そこまで。後はただ、馬に乗り、世話をし、ボぉっとし、可愛い厩務員にウツツを抜かしている様子が冗漫に並べられるだけ。一応、競馬屋にとってはマストのものとして観たのだが、なんだかなぁの仕上がり。
ここがどういう場所なのか、彼らがどういう経緯でここへやって来たのかといった前置き・説明はいっさいナシ。何人が騎手になれるのか、フランスにおけるジョッキーの社会的地位、危険性、親や教官の想いなど、通常なら盛り込んで然るべき要素も、ほぼゼロに近い。
少なくとも、ジョッキーがスペシャリストたる所以=騎乗技術や知識、成長の過程などをしっかり描かないと、「フツーの少年の頑張り」というテーマも中途半端になってしまうと思うのだが。まさにタイトル通り「夢見ている」だけの少年にしか感じられないのが残念だ。
あと、音楽もかなり安っぽい。
ちょっと感心したり「!」と思えたのは、未成年かつ見習い以前の騎手の卵たちが馬券を買っている事実と、ディープインパクトの登場と、少年たちが野球顔でもサッカー顔でもなくちゃんと“ジョッキー顔”をしている(競馬ファン以外にはわかりづらいだろうけれど、不思議とあるんですよ、ジョッキーっぽい顔って)ことくらい。フラヴィアン君が返し馬に入ったときの表情なんか、完全に騎手だもんな。
ただ全体としては「ふんふん。こういうフツーの子たちがジョッキーになろうとしていろいろやっているらしいのね」にとどまる、不完全で面白味に欠ける作品だ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント