96時間
監督:ピエール・モレル
出演:リーアム・ニーソン/マギー・グレイス/ファムケ・ヤンセン/リーランド・オーサー/ジョン・グライス/デヴィッド・ウォーショフスキー/ホリー・ヴァランス/ケイティ・キャシディ/ザンダー・バークレイ/オリヴィエ・ラブルダン/ジェラール・ワトキンス/アルベン・バイラクタラジ/ニコラ・ジロー/カミーユ・ジャピィ
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【奮闘の父、パリを駆ける】
かつては世界を股にかけて働いた元CIAの工作員ブライアン・ミルズ。いまは引退し、別れて暮らす一人娘キムの成長を見守ることだけが彼の生き甲斐だった。そのキムが親友アマンダとのパリ旅行中、大規模な人身売買組織に誘拐される。しかもCIAのデータによると、拉致から96時間経過すれば被害者が助かる見込みはないという。単身でパリへ乗り込んだブライアンは、父としての情熱と身につけた技術を武器に、孤独な戦いへと挑む。
(2008年 フランス/アメリカ/イギリス)
【パパは強し】
簡単にいえば「最強の親バカを主人公に映画を作っちゃえ」という、ある意味とてもフザケた思いつきで撮られた作品なのだが、これがまぁ面白い。
序盤の流暢な状況説明から、サイド・エピソードのセレブ護衛、そこでの活躍、いきなりの事件、侵入に格闘にカー・アクションと、緩急自在&大胆なスっ飛ばしでズイズイと突き進む。
多分に『24』を意識した(ご丁寧にザンダー・バークレイまで登場するし)怒涛の展開。それをスピーディなカッティングなどベッソン流のテンポのよさで見せていく。
監督は『トランスポーター』や『ローグ アサシン』などで撮影を務めたピエール・モレル。そのほか、脚本ロバート・マーク・ケイメン、撮影ミシェル・アブラモヴィッチ、編集フレデリック・トラヴァル、SFXのジョルジュ・デメトロー、スタントのフィリップ&パスカル・グーガン、ファイト・コレオグラファーのオリヴィエ・シュナイデルらも、『ダニー・ザ・ドッグ』とか『アンジェラ』などに携わっている。
つまりは、どこをどう割ってもベッソン印だ。
でも、そうした作り以上に魅力的なのがリーアム・ニーソン。娘にデレデレしたかと思えば不機嫌にもなるパパの顔、いざ事件に直面したときの冷静さ(拉致されそうになった娘への指示の適確さがニクイ)、息を切らして夜のパリを走るヘトヘトっぷり、それらすべてが、このブライアン・ミルズというキャラクターを愛らしくて頼もしい存在へと押し上げる。
格闘シーンも(マーシャル・アーツのテクニカル・アドバイザーは『コラテラル』や『マイアミ・バイス』のミック・グールド)、この人らしからぬキレを存分に表現していてカッコイイ。
ついでに娘キム役のマギー・グレイスも、ぱっと明るく喜ぶ表情や怯えなどに、等身大の17歳の育ちのよさを感じさせて、なかなか(『LOST』のシャノンだとはまったく気づかなかった)。
まぁ「現地の捜査機関をこれっぽっちもアテにせず、お父ちゃん大活躍。しかもあれだけ暴れといて、あとは知らん顔」という強引で現実離れした内容だけれど、約1時間半の短尺も見やすく、素直に「パパさんすげー」と感心しながらブライアンの大暴走を楽しめる純エンターテインメントである。
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