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2012/05/11

パブリック・エネミーズ

監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ/クリスチャン・ベイル/マリオン・コティヤール/ジェイソン・クラーク/ビリー・クラダップ/スティーヴン・ドーフ/ブランカ・カティッチ/ジョヴァンニ・リビシ/リーリー・ソビエスキー/スティーヴン・グレアム/ロリー・コクレイン/ジェームズ・ルッソ/デヴィッド・ウェンハム/クリスチャン・ストールティ/スティーヴン・ラング/デヴィッド・ウォーショフスキー/チャニング・テイタム/キャリー・マリガン/エミリー・デ・レヴァイン/ジェフリー・カンター/ジョン・オーティス/ショーン・ハトシー/アダム・ムッチ/スペンサー・ギャレット/ドン・フライ/マット・クレイヴン/リリ・テイラー/マイケル・ベント/アラン・ワイルダー/ランス・ベイカー

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【民衆の敵、その生きざま】
 大恐慌直後の1933年。仲間を脱獄させることに成功した強盗犯ジョン・デリンジャーは、その後も次々と銀行を襲う。彼らを逮捕すべく、エドガー・フーバーは州と州をまたいだ犯罪に対応する法と捜査システムの整備に奔走し、ジョンの本拠地であるシカゴの責任者には腕利きのメルヴィン・パーヴィスを登用する。クラブで出会ったビリー・フレシェットと恋に落ちたジョンは、メルヴィンによる必死の追撃を次々と交わすのだが……。
(2009年 アメリカ)

【デキはいいが、芯の弱い映画】
 トータルとしては、すごくよくできていると思う。とりわけ語り口のリズム感が上々だ。

 荒っぽくもスマートに脱獄や強盗を完遂させる様子を、下手な説明抜きで流れるように描写し、ジョン一味の組織力、計画力、綿密な下準備の必要性や悪党どものネットワークの存在を印象づけていく。対比として捜査当局の不甲斐なさも描き、いっそうジョンたちの仕事ぶりは引き立つ。
 メルヴィンは捜査官たちに大量の武器を供与し、おいおいそんなに大袈裟にするのかよと観客に思わせておいて、部下にそれだけの覚悟を迫る。あるいは競馬場の中、熱狂する人々を背景にしたキスシーンでは、ジョンとビリーがたがいに相手しか大切なものはないと感じていることがわかる。

 こうした“見せる語り”を支えるのはスタッフの力。
 ドキュメンタリー・タッチを交えて引き込む冒頭部から、撮影はその場感を重視。サウンドメイクもまたその場の空気をすくい取り、音数も多彩。美術や衣装もスキがない。スタントチームも一流のようだ。

 もちろん出演陣の力量も確かで、ジョニー・デップはカッコよく、マリオン・コティヤールは美しく儚く、クリスチャン・ベイルは出しゃばりすぎることなく振り回される捜査官を好演。他の作品なら主要な役を演じられるメンツをチョイ役に配してあって、大胆なキャスティングとも感じる。

「今日が最高なら明日のことは考えない」
「人は来た道ばかり気にするが、どこへ向かうかが大切だ」
 刺激的なセリフの数々も楽しい。

 ただ、伝記モノの宿命を思い知らされることにもなる。
 ダラダラとジョンの生い立ちから作らず、彼の人生の後半部だけでまとめた点は、物語をキュっと締めることにつながっていて見識だと思う。が、同時に浅さを生んでいるというか、ジョンに「連続銀行強盗犯」以上の存在感を与えることも阻んでいる。
 仲間やビリーとの関係、ジョンの仕事ぶりに加えて、メルヴィン側の描写にも相当の時間を割き、ジョンがキッカケでFBIが誕生したことも盛り込んで、顔と名前が一致しない人物もゾロゾロと登場。流れはいいものの散文的になり、映画/物語としての“軸”が失われてしまったような印象だ。

 デップずるいぞカッコいいぞ、という感想は残るけれど、ジョン・デリンジャーが何者なのか、彼の存在が社会や仲間やビリーに果たした役割は何だったのかがフワっとしたまま終幕を迎える、そんな「ちょっと芯の弱い」映画になっているように思える。

●主なスタッフ
 撮影は『インサイダー』などのダンテ・スピノッティ、編集は『コラテラル』のポール・ルベルと『アメリカを売った男』のジェフリー・フォード。
 美術は『ダークナイト』のネイサン・クロウリーや『バットマン ビギンズ』シカゴ・パートのパトリック・ラム、『トロン:レガシー』のウイリアム・ラッド・スキナーら。衣装は『スウィーニー・トッド』のコリーン・アトウッド。音楽は『アクロス・ザ・ユニバース』のエリオット・ゴールデンサール、サウンドチームは『ウォッチメン』のジェレミー・ピアソンら。
 SFXは『トランスフォーマー:リベンジ』のブルーノ・ヴァン・ジーブロック、スタントは『かいじゅうたちのいるところ』のダーリン・プレスコット。

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久々にスッキリ素顔のジョニデ今週来日ですね公式サイト http://www.public-enemy1.com12月12日公開監督: マイケル・マン 「コラテラル」「マイアミ・バイス」 大恐慌で不況が [続きを読む]

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