ダレン・シャン
監督:ポール・ワイツ
出演:クリス・マッソグリア/ジョシュ・ハッチャーソン/ジョン・C・ライリー/ジェシカ・カールソン/渡辺謙/マイケル・セルヴェリス/レイ・スティーヴンソン/パトリック・フュジット/オーランド・ジョーンズ/フランキー・フェイソン/クリステン・シャール/トム・ウッドラフ・Jr/ジェーン・クラコウスキー/ドリュー・リン・ヴァリック/モーガン・セイラー/ドン・マクマナス/コリーン・キャンプ/パトリック・ブリーン/ダニエル・ニューマン/ウィレム・デフォー/サルマ・ハエック
30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3
【奇妙なサーカス団で始まる、彼の冒険】
いい子に徹して成績も優秀な高校生ダレン・シャン。けれど教育熱心な両親に息苦しさも覚えており、ある夜、家を抜け出して学校で禁じられた催しを見物に行く。それは、見上げるほどの大男やウルフマン、再生能力を持つ女性らが集うフリークたちのサーカス団。親友スティーブは吸血鬼クレプスリーに「自分もバンパイアになりたい」とすがり、ダレン自身もクレプスリーの飼い蜘蛛オクタを盗んだことで、彼らは大騒動に巻き込まれていく。
(2009年 アメリカ)
【薄味で押しの弱いファンタジー】
記憶が確かなら、OPクレジットはジョン・C・ライリー、渡辺謙、ジョシュ・ハッチャーソンという並びで、ギャラと知名度の順か。あとはwithとかandでウィレム・デフォーとサルマ・ハエックが来る。軽視されちゃった主役クリス・マッソグリア君(美形で若々しくって決して悪くはない)を、キャリア豊富なバイプレーヤーで支えましょう、という感じ。
そうした面々プラス悪役や脇役の皆さんが、必要以上にはオドロオドロしくせず、ちょっぴりオーバーかつコミカルながら(特に渡辺謙とウィレム・デフォーは、なんかもう楽しんでるでしょ)、どこかに人間臭さを出して快活に演じる。ヒロイン役ジェシカ・カールソンは華に欠けるけれど、まさかジョン・C・ライリーが悩めるヒーローなんて、というギャップも含めて、まずまず面白いキャストだ。
特殊メイクも頑張っているし、VFXも及第点。この手の作品としては珍しくフィルム(撮影は『クラッシュ』のJ・マイケル・ミューロー)で撮られているようで、その陰影豊かなイメージ(ちょっと暗すぎるけれど)が世界観を助けている。プロダクション・デザインは『マグノリア』などのウィリアム・アーノルド、衣装は『X-MEN:ファイナル ディシジョン』のジュディアナ・マコフスキーで、これらの仕事ぶりも上々だろう。
ただ、なんか全体にちょっと雑で薄味。
コメディタッチを交えながら、余計なことを端折ってガンガン進むのは、いい。監督は『アバウト・ア・ボーイ』のポール・ワイツ、脚本は監督自身と『ミスティック・リバー』などのブライアン・ヘルゲランドで、ソツなく軽快にまとめてあるとは思う。
が、展開にも撮りかたにも「さぁここからだ!」とか「これでもか!」というところがない。ふにゃっと流れて見せ場は少なく、あっても基本的に肉弾戦オンリーなのでビャーっドカンっと揉み合って何をやってるのかわからんまま終わり。フリークならではの気色悪さも不十分だ。
押しの強さとかスケール感とかがまるでなくて、ダレン同様に映画そのものも品よくまとまっちゃった感じ。
まぁ「これからの盛り上がりに期待」といきたいところだけれど、興行的に失敗して続編製作は頓挫している模様。「続きは見なくていいや」というヒドさではなく、これから噴出するであろう“アク”のようなものが楽しみな題材なので、ちょっと残念だ。
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