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2012/09/25

ウルフマン

監督:ジョー・ジョンストン
出演:ベニチオ・デル・トロ/アンソニー・ホプキンス/エミリー・ブラント/ヒューゴ・ウィーヴィング/アート・マリック/ジェラルディン・チャップリン/ニコラス・デイ/マイケル・クローニン/デイヴィッド・スターン/デイヴィッド・スコフィールド/オルガ・フェドリ/クリスティーナ・コンテス/マリオ・マリン=ボルケス/エイサ・バターフィールド

30点満点中17点=監3/話2/出4/芸4/技4

【その一族が背負う血の宿命】
 1891年のロンドン。舞台役者ローレンス・タルボットのもとに、弟ベンの婚約者グエン・コンリフが訪ねてくる。幾人かの村人とともにベンも行方不明になったのだという。母の死以来、疎遠となっていた故郷ブラックムーアへ久々に帰ったローレンスは、むごたらしい死体となったベンと再会する。獣の仕業か、それとも悪魔か、あるいは狂人か? 「呪われた一族」の汚名を着せられながらも真相に迫ろうとするローレンスだったが……。
(2010年 アメリカ)

【デキは悪くないが深みに欠ける】
 1941年の作品をリメイク。オリジナルを『セブン』や『8mm』のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーと『ロード・トゥ・パーディション』のデヴィッド・セルフが脚色したようだけれど、その割には薄いというか浅いというか。本来この作品が持つはずの“哀しみ”という要素が不足しているように感じる。

 少なくとも、パパ・タルボットと死んだ母、母とローレンス、ローレンスとグエンなどの関係性にはもっと深く突っ込んでいくべきだったろう。
 どうも大衆受けを狙って「そんなのいいから、ぐわぁっとスリリングにホラーにね」というベクトルで作られたような感覚だ。
 まぁその範囲ではそこそこ上手く仕上がっているのだが。

 色やコントラストが丁寧に調整され、画面の四隅に暗みを置いて雰囲気を醸し出した撮影。シワやプリーツの質感に富み、中に収められた肉体の様子までうかがわせる衣装。重々しく盛り上げる音楽。19世紀をしっかりと再現した美術。巧みにマッチングされた特殊メイクとVFX。
 いずれも上々で、いくつか編集が乱暴だなと感じられるところはあるものの、外観的には格を感じる作品になっている。

 今回観たのはディレクターズ・カット版で、劇場公開版より10分以上も長いようだ。恐らく「スリリングにホラーにね」に対するささやかな抵抗なのだろう、何とか“情”の部分を増強しようとした気配はうかがえるし、前半は静か、きっかり1時間地点に変身シーンを置き、そこからスピードアップ、という流れのよさも生まれているといえるだろう。

 この題材でベニチオ・デル・トロとアンソニー・ホプキンスを組ませるってのも豪胆だが、さすがに期待には応えるふたり。とりわけベニチオは目の輝きだけで正気と狂気を演じ分けたりして見ごたえがある。
 ただエミリー・ブラントは『サンシャイン・クリーニング』『プラダを着た悪魔』のような現代のフツー女子というイメージが強くて、ちょっと本作の世界にはそぐわないかも知れない。

 そんなわけで、シナリオに手を入れてヒロインには線の細い美形を連れてきて撮り直しっ、といいたくなる作品。

●主なスタッフ
 撮影は『オーシャン・オブ・ファイヤー』のシェリー・ジョンソン、プロダクションデザインは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』のリック・ハインリクス。
 衣装デザインは『マリー・アントワネット』『ダージリン急行』のミレーナ・カノネロ、編集は『守護神』のデニス・ヴァークラーと『ジャーヘッド』のウォルター・マーチ。音楽は『ウォンテッド』『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』の、おなじみダニー・エルフマン。
 特殊メイクデザインは『もしも昨日が選べたら』『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のリック・ベイカー、VFXは『ライラの冒険/黄金の羅針盤』のスティーブン・ベッグ、SFXは『Vフォー・ヴェンデッタ』のポール・コーボルド。

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