タイタンの戦い
監督:ルイ・レテリエ
出演:サム・ワージントン/ジェマ・アータートン/ジェイソン・フレミング/アレクサ・ダヴァロス/ティン・ステイペルフェルト/マッツ・ミケルセン/ルーク・エヴァンス/イザベラ・マイコ/リーアム・カニンガム/ハンス・マシソン/アシュラフ・バルフム/モラウド・アコール/イアン・ワイト/ニコラス・ホルト/ヴィンセント・リーガン/ポリー・ウォーカー/ルーク・トレッダウェイ/ピート・ポスルスウェイト/エリザベス・マクガヴァン/シンニード・ミカエル/レイフ・ファインズ/リーアム・ニーソン
30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3
【人と神々との戦い】
神は人に恵みを与え、人は神に愛と祈りを捧げていた時代。主神ゼウスに反旗を翻すアルゴスの王と、愛ではなく恐怖で人を支配すべしと説く冥界の王ハデスの戦いが始まる。その戦いに巻き込まれて家族を失った漁師のペルセウスは、自分がゼウスと人との間に生まれた“半神”であることに悩みながらも、ハデスへの復讐に燃えて立ち上がる。ハデスが創った怪物クラーケンを討つための、ペルセウスとアルゴスの兵士たちによる戦いは続く。
(2010年 アメリカ)
【とんでもない、かも】
レイ・ハリーハウゼンの『タイタンの戦い』を『トランスポーター』シリーズや『ダニー・ザ・ドッグ』、『インクレディブル・ハルク』のルイ・レテリエがリメイクした作品。
とんでもない映画だなぁというのが実感。でも、キライじゃない。
ペルセウスについて調べると、本作では立ち位置などがかなり脚色されていることがわかる。何の脈絡もなくいきなり「こいつは半神だ」と明らかになったりして、強引さとスピード感を重視してまとめられたキャラ設定とストーリーになっている感じ。脚本は『イーオン・フラックス』の人たちなので、まぁこのレベルで仕方ない。
それにしても、流されてくる救世主(モーゼに桃太郎に『ウィロー』だ)、デミゴッド、異形の存在、怪物、サブ・キャラがわらわらと出てきては死んでいき、美女がズラリと勢ぞろい。そして、神との戦い……。日本の少年マンガ的な要素と展開。いや、マンガがギリシア神話の引用といえばそうなんだけれど、まるで『ベルセルク』だよね。レテリエって日本のコミックが好きみたいだし、いろいろ読んでるかも知れんな。
そんな内容を彩るのは、どこか前時代的なVFX。だって神々がぼわっと光っていたり、ハデスの首がもやもやっと浮かび上がったりするんだもの。なんだか『オズの魔法使』を思い出した。
いっぽうで作りとしては割と手堅く、美術も音楽も撮りかたもあまり冒険はせず、派手なことやコケオドシを避けている感じ(もちろん3Dを意識したカットは多めだが)。ただアクションシーンは他の同系統の作品より数十センチほど対象に寄って撮るイメージで、それが「ガツっ」という重みにつながっているのが良。
キャストは上々。サム・ワージントンはちょっと“いま風”すぎるが、作りには合っている。悪者顔マッツ・ミケルセンが勇敢な戦士だったり、ジェマ・アータートンをはじめ美女揃いだったり、それらをピート・ポスルスウェイトとレイフ・ファインズとリーアム・ニーソンで取り囲んで格を維持したりと、まぁまぁ面白いキャスティングだ。
要するに、コミック的+前時代的+いま風+手堅さという、とんでもないミックス。その雑多な感じや、無理やりかつ薄い展開に馴染めないとズッコケだけれど、個人的にはキライじゃない、ということ。
惜しむらくは、入り江に建てられた国とか洞窟の中とか森とか、やや狭めの舞台を狭く捉えたシーンが多い。広がり感・スケール感が足りないかも知れない。
で、続編を作っているらしいが、そちらは監督が『実験室KR-13』のジョナサン・リーベスマン。いったいどんな作りになるのか、ちょっとだけドキドキしながら待つとしよう。
●主なスタッフ
美術は『ターミネーター4』や『エンバー 失われた光の物語』のマーティン・ラング、音楽は『彼が二度愛したS』や『アイアンマン』のラミン・ジャヴァディ、衣装デザインは『バットマン』シリーズのリンディ・ヘミング。VFXは『ダークナイト』や『ハリ・ポタ』のニック・デイヴィス。
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