パリより愛をこめて
監督:ピエール・モレル
出演:ジョン・トラヴォルタ/ジョナサン・リス・マイヤーズ/カシア・スムートニアック/リチャード・ダーデン/アンバー・ローズ・レヴァ/エリック・ゴードン/シェムズ・ダマニ/アレクサンドラ・ボイド
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【パリを舞台に駆ける、ふたりの工作員】
パリのアメリカ大使館で働く外交官ジェームズ・リース。秘密工作員という裏の顔を持っているものの、まだ中途半端な仕事しか任せてもらえない見習いの身だ。国際会議が近づく中、彼の相棒としてベテランエージェントのチャーリー・ワックスがやって来る。いきなりレストランで銃をぶっ放し、張り込みの最中に娼婦と寝る破天荒なワックスに振り回されながら、麻薬密売組織を追うリース。だが事件の陰には、ある重大な陰謀が潜んでいた。
(2010年 フランス)
【一気に畳み掛けるスピード感】
ベッソン&モレルのコンビによる、『96時間』に続くオッサン頑張ります系ノンストップ・アクション。あっちはシリアスタッチ、こちらはユーモアを交えながらと違いはあるけれど、雰囲気やデキはそっくりだ。
テンポ重視。スリリングなサントラに乗せて、主人公ふたりが次から次へと悪者どものアジトを壊滅させていく。
リースの側に立った視点・描写が貫かれていて、巻き込まれ型のストーリーを観客が同時体験していく、という作りが妥当。「こいつ、ツボを持ってウロウロさせると面白いよね」的な茶目っ気も見せつつ、序盤はややコミカルに、終盤はちょっと真面目に、という流れもいい。
撮りかたとしては、銃を撃つたびその反動を表現するようにカメラがブレる(一瞬だけズームが動く)というのが、まずまず面白い。格闘や銃撃におけるスローモーションも、それだけに頼るのではなく、リアルタイムとの使い分けで上手く流れや迫力を表現している。
出演陣もマズマズ。
ジョナサン・リス・マイヤーズは、これまで『ベッカムに恋して』や『テッセラクト』、『M:i:III』なんかで見ているはずだけれど、正直あまり印象に残っていない。でも本作では、なんとなくジャニーズ系を思わせるわかりやすい芝居でリース役にぴったりとあっている感じ。キャロリン役カシア・スムートニアックもイロっぽくていい。
で、ジョン・トラヴォルタって55歳くらいですか。スタントや撮りかたに助けられているとはいえ、なかなかの頑張り。彼自身のキャリアも手伝って、むちゃくちゃだけれど凄腕という役柄に説得力がある。
まぁ、主演ふたりの化学反応がないなど世間の評価が低いことには納得できるし、お話としてはそれほど深くはない。本来なら漂うはずの「切なさ」も出ていないし、相変わらずガンガン撃ってクルマをビュンビュン走らせてドカンと爆発させときゃあ楽しいだろ、みたいなベッソン風のノリになっているけれど、その範囲内では確かに楽しく仕上がっている。
けれど少なくとも、いつの間にかストーリーが佳境に差しかかってそのまま一気に突っ走っていく、そんなスピード感は味わえる作品だ。
●主なスタッフ
監督だけでなく、撮影ミシェル・アブラモヴィッチ、編集フレデリック・トラヴァルも『96時間』の人。スタントのフィリッペ・グーガン、ファイト・コレオグラファーのオリヴィエ・シュナイデルも同様で、そりゃあ仕上がりが似ていて当然だ。
音楽は『ザ・タウン』のデヴィッド・バックリー。SFXは『トランスポーター3』のフィリップ・フービン。
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