キル・ビル Vol.1
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ユマ・サーマン/ルーシー・リュー/ヴィヴィカ・A・フォックス/ダリル・ハンナ/デヴィッド・キャラダイン/マイケル・マドセン/ジュリー・ドレフュス/栗山千明/千葉・“ソニー”・真一/ゴードン・リュウ/マイケル・パークス/マイケル・ボウエン/國村隼/大葉健二/風祭ゆき/ジェームズ・パークス/佐藤佐吉/ジョナサン・ローラン/森下能幸/北村一輝/田中要次/高橋一生/麿赤兒/大門伍朗/菅田俊/アンブローシア・ケリー
声の出演:前田愛/楠見尚己/緑川光
30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3
【復讐に燃える花嫁】
テキサス州エルパソでの結婚式、ビルが率いる毒ヘビ暗殺団によって牧師や参列者すべてが殺戮される。だが花嫁(ザ・ブライド)ことブラック・マンバだけは頭を撃たれながらも一命を取り留めた。4年後、長い昏睡から目覚めたザ・ブライドは、復讐のため行動を開始する。いまは幼い娘と暮らしているコッパーヘッドの家へ赴き、あるいは東京でヤクザを統括しているコットンマウスを倒すため日本刀を振りかざし、彼女の戦いは続く。
(2003年 アメリカ)
【タランティーノだからこそ】
見せ場であるはずのアクションが、ちょっと冴えないかも。
アイディアやグロテスク性やショック性はいいんだけれど、カンフーがユエン・ウーピン、剣術が千葉真一と、コレオグラファーに二大巨頭を持ってきながら、どうもシャープさや迫力やスピード感に欠ける。
たぶん、カメラ位置、つなぎかた、安直なワイヤー使い、ユマ・サーマン自身の身体のライン、スタントの質などが複合的に作用してイマイチになっちゃったんだろう。
でも、そういう個々のカット/シーンに難癖つけるような作品じゃないのかも知れない。
時制をいじくり、予想外の展開で揺さぶり、親指の後にアニメーションを持ってきて、青葉屋では驚きの長回しを見せ、ソニー千葉にコントまがいのことをやらせ、香港アクションや深作や勝新へのリスペクトを盛り込み、音楽やカットはあっちからもこっちからも持ってきて、意識的にトンデモ・アジアをバラ巻いて……。
ぐっちゃぐっちゃでありながら、あるいはぐっちゃぐっちゃだからこそ保たれる「どう観てもアイツの映画だよね」という作家性。
ニヤニヤワクワクしながら観るか、眼にキワモノとして映るか。そんな、トータルでの唯一無二性こそが、この映画におけるタランティーノのパワーであり魅力であるといえるのだろう。
どうかこのまま好き勝手やってください。横浜ベイエリアとか熱海あたりにある「昭和期のインチキ臭い玩具を集めた雑貨屋」を覗く気分で、ときどき観させてもらいますから。
とりあえず本作では、そんな好き勝手の中で嬉々として演じている日本サイドのキャスト(千葉真一、國村隼、ジュリー・ドレフュス、栗山千明、田中要次)が楽しかった、ということで。
●主なスタッフ
アニメーション監督は『PARASITE DOLLS』の中沢一登。
撮影は『アビエイター』や『救命士』のロバート・リチャードソン、編集は『デス・プルーフ』や『イングロリアス・バスターズ』のサリー・メンケ。
美術は『花とアリス』や『空気人形』の種田陽平と『フリーダムランド』のデヴィッド・ワスコ。衣装は『雪に願うこと』の小川久美子と、『ブレイブワン』や『幸せになるための27のドレス』のキャスリン・トーマス。
音楽は『アフロサムライ』のRZA、サウンドチームは『トロイ』や『SAYURI』のワイリー・ステイトマンら。
SFXは『ジャーヘッド』のジェイソン・グスタフソンら、カンフーコレオグラファーは『ダニー・ザ・ドッグ』などのユエン・ウーピン、スタントチームは『インベージョン』のキース・アダムスら。
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