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2012/11/06

トラブル・イン・ハリウッド

監督:バリー・レヴィンソン
出演:ロバート・デ・ニーロ/ショーン・ペン/キャサリン・キーナー/ブルース・ウィリス/ジョン・タートゥーロ/ロビン・ライト・ペン/スタンリー・トゥッチ/クリステン・スチュワート/マイケル・ウィンコット/ジェイソン・クラビッツ/マーク・イヴァニル/レミー・K・セルマ/クリストファー・エヴァン・ウェルチ/リリー・レイブ/サム・レビンソン/ピーター・ジェイコブソン

30点満点中16点=監4/話2/出4/芸3/技3

【プロデューサーの長い1週間】
 ハリウッドの大物プロデューサー30人のひとりに選ばれたベン。だが彼の周囲はトラブル続き、その解決や収束のための日々が続く。新作の試写会ではラストシーンが観衆の不評を買い、映画会社の社長ルーは静かに怒るが監督のジェレミーは折れようとしない。またブルース・ウィリスは撮影直前だというのにヒゲを伸ばしたまま。2番目の妻ケリーとの間では離婚話が進み、最初の妻との子ゾーイには何やら秘密があるらしく……。
(2008年 アメリカ)

【ちょっと狭めの内幕モノ】
 原作・脚本のアート・リンソンは『アンタッチャブル』や『ファイト・クラブ』、『狂っちゃいないぜ』『イントゥ・ザ・ワイルド』など、硬派でキレもある映画を手がけた人。それだけに説得力も重みもあるし、面倒くさい世界だなぁと思わせてはくれる。
 けれどたぶん、1本の映画が仕上がるまでにはもっともっと小さな問題が山積しているはず。それに、あくまで1プロデューサーの視点から描いたものなので、ハリウッドの内幕モノとしてはお話が狭い。

 かといってベンのパーソナルな部分に突っ込んでいくかと思えば、それも不足気味。各エピソードに割かれる時間が短いせいか、ゴマカシゴマカシ目の前の問題に対処していくので精一杯だ。

 まぁその範囲内では、それなりの仕上がり。
 ドキュメンタリー・タッチを取り入れて生々しさを醸し出したり、カットの積み重ねやサントラといった「パーツの組み合わせ」で映画ができていることを感じさせたり、つまりは“映画を描いた映画”であることをちゃんと意識した作りになっている。
 巨匠と御大の作品とあって出演陣はやたらと豪華で、それぞれが、繊細さやわがままやアート志向や気の弱さなど、各キャラクターの属性を律儀に表現している感じだ。

 さて、ベンに降りかかるトラブルはまだまだ続きそう。とにかく交渉に次ぐ交渉、さらに交渉、脅しと作り笑いと裏切りに満ちた日々が終わることはないのだろう。
 それが(プロデューサーにとっての)ハリウッド、ということをわからせる点では成功しているのかも知れない。

●主なスタッフ
 撮影は『ベティの小さな秘密』などのステファーヌ・フォンテーヌ、編集は『ニュー・ワールド』のハンク・コーウィン。
 音楽は『グッド・シェパード』のマルセロ・ザーヴォス、衣装は『グッド・シェパード』や『マンマ・ミーア!』などのアン・ロス。サウンドチームは『エターナル・サンシャイン』などのユージーン・ギアティとフィリップ・ストックトンら。

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