ダウト ~偽りの代償~
監督:ピーター・ハイアムズ
出演:ジェシー・メトカーフ/アンバー・タンブリン/マイケル・ダグラス/ジョエル・デヴィッド・ムーア/オーランド・ジョーンズ/ローレンス・P・ベロン/シーウェル・ホイットニー/デイヴィッド・ジェンセン/シャロン・K・ロンドン
30点満点中16点=監4/話3/出4/芸3/技2
【検察の偽りを暴くための罠】
TVレポーターのC・J・ニコラスは若き女性検事エラと恋に落ちる。だがいっぽうで彼は、エラの上司であるハンター検事を大スクープの標的として狙っていた。DNAを審理終盤に証拠として持ち出し勝訴するハンターのやり口から、証拠捏造の気配を感じ取っていたのだ。CJは同僚のフィンリーと策を巡らし、自らを本物の殺人事件の被疑者に仕立て上げる。今回もいずれハンターはニセの証拠を用意するはず、と踏んだのだが……。
(2009年 アメリカ)
★ややネタバレを含みます★
【面白くなる余地は十分にあったが】
1956年の『条理ある疑いの彼方に』を、デジタル時代に合わせた脚色も施しつつリメイクした作品。
アウトラインそのものの面白さもあって、基本的にはスリリング。CJが泥酔運転でわざと捕まるくだりのスピード感、あるいは証拠となるナイフに細工する過程・場面をあえて省略するなど“すっ飛ばし”の妙もあり、時間経過はなめらか、テンポのよさが特徴だ。
ジェシー・メトカーフ、アンバー・タンブリン、両者とも役柄に合っていると感じられるし、ちょっと手抜き感のあるマイケル・ダグラスも、それがかえって「脇役の悪役」にハマっている。
ただ、いまひとつパっとしない仕上がり。
カメラ(監督が撮影も兼任)は不自然にアンダー、編集とか音の作りとかも雑。全体にTVサイズで「ここっ!」という見せかたの上手さに欠ける。たとえばマーチャント警部補がタバコを投げ捨てるカットなんか、ちょっとスローにするだけでだいぶ印象はちがってくるはずなのだが。
カットを細かく割ってあって丁寧に作られているとは思うけれど、そこから一歩先へ進む「格」とか「味」がない。
それにオチ(事件の真相)が途中で読めてしまうし、ヒロインが危機に陥るクライマックスの展開は唐突で伏線が足りない。
せっかくいい映画になりそうな題材なのに、もったいないなぁ。予算の大半をマイケル・ダグラスのギャラに持っていかれて十分な態勢で作れなかったのかもなぁ。なんて思ってしまう作品。
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