レポゼッション・メン
監督:ミゲル・サポチニク
出演:ジュード・ロウ/フォレスト・ウィッテカー/リーヴ・シュレイバー/アリシー・ブラガ/カリス・ファン・ハウテン/チャンドラー・カンタベリー/ジョー・ピングー/ライザ・ラピラ/ティファニー・エスペンセン/RZA
30点満点中15点=監3/話2/出3/芸3/技4
【回収人に迫る回収の危機】
ユニオン社によって提供される人工臓器は極めて高額、利用者は多大なローンに苦しめられている。支払いを滞納すれば、待っているのは臓器の回収だ。もちろん命の保証はない。レポメン=回収人として働くレミーは小学生時代からの悪友ジェイクと仕事に徹していたが、妻キャロルからは販売係へ移るよう懇願されていた。レミーはその願いを聞き入れて最後の回収に赴いたものの、あるトラブルに巻き込まれ、自身も追われる運命を背負う。
(2010年 アメリカ/カナダ)
【残念なバカっぽさ】
いきなりシュレーディンガーの猫で始めて、未来都市の美術コンセプトはあからさまに『ブレードランナー』。もちろん基本設定である人工臓器と回収人のアイディアや、回収人の印であるバーコードなど、SF的な道具立てで飾ってある。
でも、SFマインドはないんだなぁ。
なにしろバカアクション。回収対象の臓器を傷つけてはならないという制約があるはずなのに、バッタバッタと切り倒す。人を解体することが苦痛になっているはずなのに、追っ手は平気で倒してしまう。回収しただけで支払い滞納履歴まで消去されてしまうってのも疑問の残る設定だ。
SF部分を離れても、利用者側の事情は描き切れておらず、自叙伝や息子ピーター(『ノウイング』のチャンドラー・カンタベリー君。せっかくの美形なのにもったいない)の存在も利いているとはいいがたいし。いきなり登場した美女と恋仲になるってのもアタマが悪い。
そして、もうオチがミエミエ。
脚本は『マッチスティック・メン』の原作者エリック・ガルシアの書き下ろし(と『Dr.HOUSE』のギャレット・ラーナーもクレジット)。ハナっから“引っ掛けてやろう”という意識で作られたお話、ということなんだろうけれど、骨格も肉付けも甘い。
監督は『トレインスポッティング』の美術とかCM、ビデオクリップ、あとは『Dr.HOUSE』を手がけてきた人物らしく、これが初長編。撮りかたとしてはまぁまぁ手堅く、それなりのスタッフが揃っているせいで、何でもない場所が近未来っぽく見えたりテンポが小気味よかったり、見た目のデキは(内容の割に大人しすぎるけれど)、ダメダメではない。
とにかくSFマインドの欠如=不安定なベクトルとバカっぽさが足を引っ張っている、残念な作品。
●主なスタッフ
撮影は『タブロイド』や『28週後...』のエンリケ・シャディアック、編集は『ミニミニ大作戦』や『ゴーストライダー』のリチャード・フランシス=ブルース。
プロダクションデザインは『センター・オブ・ジ・アース』のデヴィッド・サンドファー、衣装は『ROCK YOU!』のキャロライン・ハリス。
SFXは『マックス・ペイン』のウォーレン・アプレディ、VFXは『トロン:レガシー』のアーロン・ウェイントラウブ。
サウンドデザインは『ハンコック』のヤン・デルプーヒ、音楽は『ハート・ロッカー』や『アイ,ロボット』のマルコ・ベルトラミ、ミュージック・スーパーバイザーは『エターナル・サンシャイン』のケイシー・ネルソン。
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