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2012/11/29

Dr.パルナサスの鏡

監督:テリー・ギリアム
出演:ヒース・レジャー/クリストファー・プラマー/リリー・コール/アンドリュー・ガーフィールド/ヴァーン・トロイヤー/ジョニー・デップ/ジュード・ロウ/コリン・ファレル/ピーター・ストーメア/トム・ウェイツ

30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3

【不思議な鏡の向こうの世界】
 夜のロンドンで、パルナサス博士一座のショーが始まる。鏡の向こうに待っているのは人々の理想と想像力が具現化した世界だ。が、永久不滅の命を持つ博士はひとつの秘密を抱えていた。Mr.ニックとの取引で、娘のヴァレンティナが16歳になったら差し出さなければならないのだ。ヴァレンティナの誕生日が近づくある日、博士らはトニーという謎の男を救う。トニーの働きでMr.ニックとの新たな賭けに勝てる見込みも出てきたが……。
(2009年 イギリス/カナダ/フランス)

【狂躁的なイリュージョン】
 ヒース・レジャーの死という悲劇はあったものの、それに関しては「鏡の向こうには、それぞれが理想とするトニーがいる」というカタチで上手に処理できている。
 鏡の向こうの幻想世界も、ちょっとイメージやカラーのバリエーションは乏しいし広がりにも欠けるけれど、まずまず魅力的。

 で、想像力が生み出す世界という道具立て、そのアニメチック&コラージュチックなデザイン、そこで繰り広げられるドタバタ、画面構成、いずれもギリアム節。こう全体にモヤヤモっとしていて、開放感なく陰鬱に収束していくっていう。

 チョコチョコと場面を飛ばしつつ、常に生と死を意識させながら、お話の焦点がどこにあるかを絞らせず、やっとこ向かう先が見えてきたと思ったのも束の間、そこから先は狂躁的な展開へと持ち込み、結局のところ核は何なのかをわからせないままで終わる。
 広角で寄ってナナメに切り取って、バストショット中心の狭苦しい画面に加えてステージ馬車の周囲というタイトな範囲で物語を進め、一気にイリュージョンへと引き込むけれどそこもまた閉じた世界。

 観終えて残るのは倦怠感かな。少なくとも「何がいいたいか」と考えちゃダメなのかも知れない。
 だって「ほとんどの人は自分の欲望に負けて、行ってはならない未来へと足を踏み出す」という事実があるのに、地獄へ行ったはずのヴァレンティナは自由と幸せを手に入れたみたいだし。
 ひとつの価値観や世界に囚われすぎるとよくないよ、というお話か。

●主なスタッフ
 脚本は監督自身と『未来世紀ブラジル』のチャールズ・マッケオン。
 撮影監督は『ローズ・イン・タイドランド』のニコラ・ペコリーニ、編集は『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』のミック・オーズリー。
 コンセプトデザインは監督と『スウィーニー・トッド』のデイヴィッド・ウォーレン、プロダクションデザインは『デッド・サイレンス』のアナスタシア・マサロ、衣装は『JUNO/ジュノ』のモニク・プリュドム。
 音楽は『リトル・ミス・サンシャイン』のマイケル・ダナと『サイレントヒル』のジェフ・ダナ。サウンドデザインは『サージェント・ペッパー』のアンドレ・ジャクミン。
 VFXは『インクハート』のジャン・ポール・ドハティや『インセプション』のリチャード・ベインら。

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