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2012/11/19

運命のボタン

監督:リチャード・ケリー
出演:キャメロン・ディアス/ジェームズ・マースデン/フランク・ランジェラ/ジェームズ・レブホーン/ホームズ・オズボーン/サム・オズ・ストーン/ジリアン・ジェイコブス/セリア・ウェストン/デボラ・ラッシュ/リサ・K・ワイアット/マーク・S・カルティエ

30点満点中16点=監3/話2/出4/芸4/技3

【その行動で運命は決まる】
 教師として働く妻ノーマとNASAで開発に従事する夫アーサーのルイス夫妻。彼らに奇妙な装置が届けられる。顔が崩れた謎の男アーリントン・スチュワードによれば「装置のボタンを押せば100万ドルを差し上げる。ただし、ボタンを押すと同時にあなたがたの知らない誰かが死ぬ」という。迷いながらも装置に手をかけるノーマ。だがその日から、ふたりの周囲では奇妙な出来事が相次ぐ。果たしてスチュワードの真意はどこにあるのか?
(2009年 アメリカ)

★ネタバレを含みます★

【SFじゃなくてよかったのに】
 装置を取り出すときに息子ウォルターが手際よく包み紙や箱を片付けるところとか、スチュワードが逆光で登場したりとか、アーサーはエンジニアなので装置を開けてみようとするのも当然だったりとか、そして「突然押す」という乱暴さとか。
 背景の匂わせかたや流れの面白さ、そしてリアリティがある。

 70年代の町や部屋の内装、衣装、NASAの開発部門、モーテルのプールといった美術もいい仕事をしているし、音楽はどことなく『ウルトラセブン』あたりの神経質さがあって良。ちょっと暗めで冷たい画面も、物語のミステリアスな要素を上手く引き立てている。スチュワードの顔も、特殊メイクなのかVFXなのか、いずれにせよ、よくできている。

 キャメロン・ディアスって歳取ったなぁという感じも、恐らくはこの役柄のための作りこみ。弾けず沈んだ面立ちが、物語としっくりくる。ジェームズ・マースデンも眉を寄せて妻に付き合う。

 そんなわけで、前半は結構好き。全体として細かなところにセンスや驚きがあふれている仕上がりだ。
 だからこそ、後半になって「ああ、そっちへ進んじゃうのね」という展開にシラケてしまう。もったいない。

 そうか、監督&脚色のリチャード・ケリーって『ドニー・ダーコ』の人だったのか。あっちは「冗長にならない程度にのっぺりとして、それなりにミステリアスな空気」がありつつも、トータルでは「映画としてのバランスを欠いてしまっている」というデキ。
 今回もそのまんまじゃないか。

 本来は凄くシンプルなストーリーのはず。
 足の指を失ったノーマ、心理テストに落ちたアーサー、顔の崩れたスチュワードと、中心に「人としての欠け」を持つ者を配し、けれどそれは誰にでも起こりうることであり、そのうえで、いたわり、葛藤、つぐないといった心理の渦の中、愛情を注ぎあいながら、けれど愚かさも抱えながら生きていくのが人。
 押さなければ何も起こらなかった。でも押してしまった。そうした選択と責任とに挟まれて、罪を背負いながらも未来へ進んでいくのが人生。
 そういうテーマを、奇妙な装置という道具立てを借りて、丁寧なお芝居で見せていく映画。それが目指すべき方向であり、こちらとしても期待していた内容(売りかたもそうだったように思う)じゃなかったか。
 要するに「手の込んだ『世にも奇妙な物語』」でよかったのだ。あの装置が何なのかなんて、別にどうでもよかったのだ。

 ところがそこへ、アッパーステージ生命体による「お試し」というファクターが加わって、しかも彼らの意志がどうにもチグハグというか一貫性を欠いていたりして、お話がしっちゃかめっちゃかになっていく。出来事としても、映画としても、後味の悪いところへ収束していく。

 別にSFじゃなくてよかったのになぁ。っていうか、なまじ妙ちくりんな設定を持ち出したがためにかえってSFからは離れていったんじゃないだろうか。

●主なスタッフ
 撮影のスティーヴン・ポスター、編集のサム・バウアー、サウンドデザインのデイヴィッド・エスパルザも『ドニー・ダーコ』と同じ。VFXは『死の秘宝』のトーマス・タンネンバーガー。
 プロダクションデザインは『フェイク シティ ある男のルール』のアレック・ハモンド、衣装デザインは『サロゲート』のエイプリル・フェリー。音楽はカナダのバンド「アーケイド・ファイア」(『かいじゅうたちのいるところ』の予告編が印象的だった)の ウィン・バトラーとレジーヌ・シャサーニュおよびオーウェン・パレット。

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