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2012/12/02

シーサイドモーテル

監督:守屋健太郎
出演:生田斗真/麻生久美子/山田孝之/玉山鉄二/成海璃子/温水洋一/柄本時生/古田新太/小島聖/池田鉄洋/山崎真実/赤堀雅秋/ノゾエ征爾

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸4/技3

【うらぶれたモーテル、ワケありの男たち女たち】
 怪しげな美容クリームのセールスマン亀田は、自分の身体を売り物にするキャンディと偶然の出会いを果たす。借金を踏み倒そうとする陽介はヤクザの敏夫に追い詰められ、恋人留衣とともに監禁状態。スーパーを経営する太田は妻の美咲に隠れて女を買おうとする。キャバ嬢のマリンを旅に連れ出した石塚は、なんとか彼女をものにしようとしている。海など見えない山奥に立つ、うらぶれた宿『シーサイドモーテル』の、4つの部屋の物語。
(2010年 日本)

【狙いが成就した、意外と楽しい小品】
 生田斗真の「いい男がわかりやすいコメディ芝居を演っても薄ら寒くならない才能」とか、麻生久美子の「どんな映画でも自分のものにしてしまう魔力」とか、山田孝之と玉山鉄二の「ハンパモノの立ち居振る舞いと台詞回しがやたらと上手いところ」とか、温水洋一がチラリと見せる「いい人の奥に潜む狂気」とか、柄本時生の「ふわふわした感じの向こう側にある意外な達者ぶり」とか、古田新太の「強引にお話を進めていくパワー」とか、山崎真実の「安っぽいエロス」とか、赤堀雅秋の「脱力感」とか。
 なかなか面白いキャストと演技。これで成海璃子にもサービスショットがあれば最高だったのだが。

 ストーリー/エピソードは、もうちょっと部屋と部屋との有機的なつながりがあってもよかったと思うし事故というネタのダブりも気になるし、セリフも展開も説明的で頭で考えました的で小説的だけれど、それなりに先が気になったり意外性があったりニヤリとさせるポイントや見せ場があったり冒頭の「実は携帯電話」のような裏切りも満載で、これまた面白い。

 で、クセモノだらけ…といってもマイナーすぎない…の出演者たちがジタバタする、ヒネった…といってもアクロバットすぎない…お話だから、撮りかたもそういうバランス。
 スローとインサートとジャンプカットと繰り返しで狂騒的なリズムを作り出し、独白ナレーションで空気をかき乱しながら、しっとりした場面も適度に盛り込み、独特の世界を創出する。イヤ~な間(ま)だけれど、それはちゃんと計算された間で決定的にダルくもダサくもならない、というところが好バランス
 フォーカスを操り、画面の隅に暗い箇所をつくって、モーテルの部屋とそこに広がる人物世界をミニチュア的に捉えようとしているのもユニークだ。

 そのモーテルの部屋の適度に不潔なところとか、ナンバープレートにまでこだわった無国籍感とか、パンクでファンクなサントラで上手に場面を彩るところとか、美術/音楽関係の仕事も上質だ。

 全体として「こんなモノを撮りたいね」という狙いが、演出にも演技にも画面作りにもしっかりと現れていて、それが成功している仕上がり。
 まぁキャストも含めて深夜のTVドラマ的な気配は強いんだけれど、だとしても「けっこう上等な深夜ドラマ」である。

●主なスタッフ
 美術は『ブタがいた教室』『TOKYO!』の磯見俊裕、編集は『恋愛小説』の石川浩通、サウンドデザインは『ニライカナイからの手紙』の古谷正志、スタイリストは『告白』『パコと魔法の絵本』の申谷弘美。

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