アイアンマン2
監督:ジョン・ファヴロー
出演:ロバート・ダウニー・Jr/グウィネス・パルトロー/ドン・チードル/スカーレット・ヨハンソン/サム・ロックウェル/クラーク・グレッグ/ジョン・スラッテリー/ギャリー・シャンドリング/ケイト・マーラ/レスリー・ビブ/ジョン・ファヴロー/ポール・ベタニー(声の出演)/ミッキー・ローク/サミュエル・L・ジャクソン
30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4
【アイアンマンに、さらなる危機】
自分がアイアンマンだと公表したトニー・スターク。国からのスーツ引渡し要求を無視、会社の経営は恋人ペッパーに譲り、世界を守るヒーローとして意気揚々の毎日だ。だがスターク家に恨みを持つロシア人科学者イワンが自らアーク・リアクターを開発し、トニーを襲撃。さらにスターク社をライバル視するハマーも企みを巡らせていた。それら敵だけでなく、トニーはリアクターによって体内に貯まる毒素という問題も抱えていて……。
(2010年 アメリカ)
【ハデさが目立つ、ザ・第2作】
本作や『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』で、どんどんマーベルの目指す方向性とか色合いがハッキリしてきた。要するに「惜しまずハデに行きましょう」という感じ。
スターク・エキスポの開幕式でダンサーが踊るシーンなんか、ショボイ映画だとそれこそもっと規模がショボくて、しかもクライマックスに持ってきそう。それをポンと序盤に挿入。
以後も、モナコで暴れたり逆走したりするほか、壊されまくるトニーの部屋、あっさり描かれる空軍基地、火の海になる駐車場など、かなり手間もヒマもカネもかかっている場面をフツーに出してくる。
もちろん特撮関係も豪華で、CGとライブの境目がわからないよう上手に処理してあって、スーツが飛び交い殴りあう迫力とスピードは、なかなかのものだ。
予算2億ドルですか。そりゃあそれだけかければ、これくらいのスケールは出せますわな。でも決して「どこに消えたかわからない」カネではなく、ちゃんと作品の大きさ・ハデさにつながっていると思う。
キャストも豪華で、主役級の役者たちを、やっぱりフツーにゴロゴロと出してくる。とりわけオレ様度に拍車のかかったトニー・スターク=ロバート・ダウニー・Jr。割とウジウジ悩むことの多い現代ヒーローにあって、このキャラクターは特異、シリーズをユニークなものにしていて楽しい。
パラジウムによって侵される身体、死んだ父との相互理解(「私の最高の創作物はお前だ」っていうセリフは『グーニーズ』でも出てきて、父から子への愛情を示す言葉としてかなり好きなんだよね)、「こんどは大軍だ」という思い切ったスケールアップなど、筋立ての味つけもマズマズだ。
残念なのは、けっこう重要な役目を果たす登場人物が多すぎて、それぞれのキャラが立っていないこと。とりわけハマーはお調子者っぷりがトニーとダブることもあり、悪役としての魅力はイマイチだ。
人物に限らずあれこれと要素を盛り込み、しかも等分に描いてあるぶん、インパクトとか核となる部分に欠ける、といったところか。
続編としてもCGヒーロー・アクションとしても及第点にあるデキだとは思うけれど、第2作にありがちな“浅さ”というか、欲張りすぎてとっ散らかった印象も残る仕上がりだ。
●主なスタッフ
脚本はダウニー・Jrの推薦とかで『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』のジャスティン・セローへとチェンジ。その他の主要スタッフは前作や同監督作『ザスーラ』と共通している人が多い。
撮影は『セントアンナの奇跡』や『ゴシカ』や前作のマシュー・リバティーク、編集も前作のダン・レーベンタールに加えて『007/慰めの報酬』のリチャード・ピアソンが参加。
プロダクションデザインは前作や『7つの贈り物』のJ・マイケル・リーヴァ、衣装は『トゥルー・グリット』のメアリー・ゾフレス。
音楽は『バレンタインデー』のジョン・デブニー、音楽スーパーバイザーは『再会の街で』や前作のデイヴ・ジョーダン。
サウンドチームは前作や『ヴィレッジ』のフランク・E・ユルナー、『アバター』のクリストファー・ボイエス。
SFXは前作や『G.I.ジョー』に参加したダニエル・シュディック、VFXは『アイ・アム・レジェンド』などのヤネク・シアーズ。
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