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2012/12/27

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

監督:マイク・ニューウェル
出演:ジェイク・ギレンホール/ジェマ・アータートン/ベン・キングズレー/アルフレッド・モリナ/スティーヴ・トゥーサント/トビー・ケッベル/リチャード・コイル/ロナルド・ピックアップ/リース・リッチー/ジスリ・オーン・アルダーソン

30点満点中16点=監4/話1/出3/芸4/技4

【策謀に飲まれた王子は、自らと国とを救えるか】
 ペルシャの王シャマランによって育てられた孤児の少年ダスタンは、やがて無鉄砲な青年に成長し、聡明な長兄タス、血気盛んな次兄ガーシヴ、頼れる叔父ニザムらとペルシャの軍を率いて戦いを続けていた。敵国に武器を供給しているらしい聖なる都アラムートを攻略した彼らだったが、父王殺しの汚名を着せられたダスタンは、アラムートのタミーナ王女とともに追われる身となる。そこには“時間の砂”を巡る大きな策謀が隠されていた。
(2010年 アメリカ)

【ストーリーのマズさが足を引っ張る】
 砂漠の中の城塞都市など美しいロケーションでさまざまなアクションが連続し、見た目の豪華さ、ハデさ、スピード感はなかなかのもの。特に、壁や高所を利用したダスタンの奮闘ぶりは、アイディア、スタント、編集とが高次で融合、見せ場として機能する。
 またアラムートの侵入シーンではダスタンの軍がしっかり鍛えられていることをうかがわせるなど、演出的にもスキがない。

 が、「まぁ予告編では面白そうに見えるけれど、本編はそうでもないな」という仕上がり。欠点がストーリー/シナリオにあることは明らかだ。

 意味のあるキャラクターは10人ほどなのだが、それぞれキャラが立っていないというマズさ。3人の王子はもう少し個性があっていいはずだし、ニザムの心の闇も掘り下げられぬまま。タミーナ王女の決意も上手く伝わってこない。
 意外と無鉄砲な青年王子がハマるジェイク・ギレンホール、美貌でツンデレ気味のジェマ・アータートン、チラっと出てきた途端「もうコイツが悪モンで決まりやん」と思わせるベン・キングズレーと、役者はそれなりに魅力的なのだが、キャラクターそのものが魅力的に光ることはない。

 キャラが立っていないから各人の行動原理は曖昧だ。なぜ背くのか、なぜ妬むのか、なぜ協力するのか。そのあたりに説得力を持たせられないままズルズルとお話が進んでいく。「○○だから△△だ」と強引に観る者を納得させるようなイメージ。
 少なくとも事が起きる前に3人の王子の兄弟としての絆の深さを印象づけるシーンは用意しておくべきだったろう。キーアイテムである「時間の砂」が威力を発揮する場面も、ちょっと物足りない。

 全体に「なんでそうする?」「どうしてジっと突っ立ってる?」とツッコミたくなるところばかり。まぁ頭からお尻まで破綻なくまとまってはいるものの、理由・動機の部分が浅いせいで面白味の少ない作品に仕上がってしまった、という感じである。

●主なスタッフ
 原作はビデオゲーム。その作者であるジョーダン・メクナーが原案としてクレジットされ、脚本は『アップタウン・ガールズ』監督のボアズ・イェーキンなど。
 撮影は『ザ・ペーパー』のジョン・シール。編集は『宇宙戦争』などスピルバーグ作品でお馴染みのマイケル・カーン、『Vフォー・ヴェンデッタ』のマーティン・ウォルシュ、『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』のミック・オーズリー。
 プロダクションデザインは『リベリオン』のウルフ・クローガー、衣装デザインは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのペニー・ローズ。
 音楽は『ザ・タウン』のハリー・グレッグソン=ウィリアムズ、サウンドチームは『アバター』のクリストファー・ポイエス、ティモシー・ニールセンや『ドミノ』のジョージ・ワッターズIIら。
 スタントは『シャッターアイランド』のG・A・アギレア、『ワルキューレ』のグレッグ・パウエルら。
 VFXは『サンシャイン2057』のトム・ウッド、SFXは『ライラの冒険/黄金の羅針盤』のトレヴァー・ウッド。

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