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2013/01/28

ヤギと男と男と壁と

監督:グラント・ヘスロヴ
出演:ジョージ・クルーニー/ユアン・マクレガー/ジェフ・ブリッジス/ケヴィン・スペイシー/スティーヴン・ラング/ロバート・パトリック/ワリード・ズエイター/スティーヴン・ルート/グレン・モーシャワー/ニック・オファーマン/ティム・グリフィン/レベッカ・メイダー

30点満点中16点=監4/話3/出3/芸3/技3

【超能力者部隊は実在した!?】
 地方新聞の記者ボブ・ウィルトンは、妻と別れた心の痛手を振り払うため湾岸戦争の取材へと赴く。そこで出会ったのはリン・キャシディ。彼こそは米軍がかつて進めていた極秘計画、超能力と善の心によって戦争を防止するという“新地球軍”の元メンバーだった。新地球軍の創設者ビル・ジャンゴによる計画書を読み、リンと同行することによって、次第に計画の全貌や末路を理解していくボブ。だが彼にもまた隠された使命があった!?
(2009年 アメリカ/イギリス)

【妄想が世界を動かす】
 タイトルはアレだけれど、オスカー級の俳優をズラリと揃え、作りとしてもカッチリ。スタッフにも一流どころを揃えたのが効いているのだろう、手間ひまかけていることも真面目に作ろうとしていることも十分にわかる仕上がりだ。

 でも内容は、やっぱりナンセンス。だいたい「ユアン・マクレガーが“ジェダイ”を目指す」ことじたい、トンデモな話。けれど原作がノンフィクションということに驚く。ホントかなぁ。それもコミでネタなのかなぁ。

 で、そのトンデモ・ストーリーを、どっちへ話を転ばせるのかフワフワっとしたまま進めて観る者をフワっとさせちゃう映画。
 シリアスにもせず、かといってスラップスティックにもせず、「おいおいボブ、こんな胡散臭い連中の胡散臭い話だけで、マジで超能力部隊なんか信じちゃうの?」という“呆れ”を漂わせたまま、けれど真っ向から否定するような空気も排して、何がどう正しいんだか明確に示さないで突き進み、そのまんまで終わる。

 監督はこれが長編2作目のグラント・ヘスロヴ(役者兼脚本家として『グッドナイト&グッドラック』に参加。顔を見て「ああ、あの人か」と認識)だが、上手に、「作りは真面目。中身はトンデモ」という難しいバランスをまっとうしている。クルーニーが認めただけあって、才能はありそうだ。

 何となく伝わってくるのは「戦争の始まりにも継続にも、実はトンデモなくバカバカしい妄想が関わっている」っていう真理
 ボブはリンを「あなたには命がけで信じているものがある」と称賛し、観る側はそこで「だぁかぁらぁ、そんなバカバカしい信念にマトモに付き合っちゃいけないってば」と呆れるのだけれど、考えてみれば宗教だって正義感だって、ちょっと離れたところから見れば妄想なのだ。

 世の中って意外に、そういう“イタい妄想”によって動かされているのかも知れないなぁ、と、薄ら寒い現実を見せつけられながらもその現実に気づかぬフリをして笑いに変える、冒険的なコメディである。

●主なスタッフ
 撮影は『デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~』のロバート・エルスウィット、編集は『ラースと、その彼女』のタティアナ・S・リーゲル。プロダクションデザインは『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のシャロン・シーモア、衣装は『007/慰めの報酬』のルイーズ・フログリー。
 音楽は『マイレージ、マイライフ』のロルフ・ケント、音楽スーパーバイザーは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のリンダ・コーエン。

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