バイオハザードIV アフターライフ
監督:ポール・W・S・アンダーソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ/アリ・ラーター/キム・コーツ/ショーン・ロバーツ/セルヒオ・ペリス=メンチェータ/スペンサー・ロック/ボリス・コジョー/シエンナ・ギロリー/ケイシー・バーンフィールド/ノーマン・ユン/フルヴィオ・セセラ/中島美嘉/ウェントワース・ミラー
30点満点中15点=監3/話2/出3/芸4/技3
【アリスの戦いは続く】
Tウィルスによる汚染で人類のゾンビ化が進んだ世界。ウェスカー率いるアンブレラ社はいまなおウィルスの研究を続けており、アリス“たち”はその殲滅に奔走していた。東京の地下にある研究所を破壊したアリスは、「汚染がなく食料もある場所」=アルカディアを目指してアラスカへと飛ぶ。そこではクレアと再会したものの、彼女は記憶をなくし、アルカディアも見当たらなかった。ふたりは海岸線を南下、ロスへと移動するのだが……。
(2010年 ドイツ/フランス/イギリス)
【イマイチ感が抜けない】
東京に汚染が広がっていく様子を手際よく視覚化し、けれど「やっぱ外人が見た東京って渋谷のスクランブル交差点かよ」というイメージの貧困さもあって、このオープニングが、本作のデキと限界とを示している。
アラスカの自然だのうじゃうじゃゾンビだの真っ白な研究施設など、舞台は多彩で、ジョコジョコ打ち込み系のサントラも画面にはマッチ。VFXも及第点で、まず“世界作り”にはソコソコ成功しているといえる。
が、語りとしてはイマイチ。
クローンの設定は上手に生かせず、記憶喪失とかDNAとか思いつきだらけの展開。移動手段や燃料の確保、残り弾数といった細かい部分はいっさい無視。ウィルスを中和されたはずのアリスは依然としてスーパーウーマンだし、ウェスカーはボスキャラの割に弱い。アクションはあれやこれやの寄せ集めでオリジナリティに欠け、徹底してスローで誤魔化す。
とりわけ致命的なのが、ミラ・ジョヴォヴィッチに“キレ”が無くなっていること。お母さんになったからかなぁ、立ち姿や歩きにシャープさが足りないように思える。たとえば敵の口に銃を突っ込むところの背中のラインとか、もうちょっとキリっと撮れなかったもんだろうか。
要は全体として「何がカッコいいか」「どう展開させるのが妥当か」という点におけるセンスが欠落しているような仕上がり。アンダーソン監督ってこのシリーズの第1作とか『デス・レース』はまぁまぁ面白かったけれど、『エイリアンVS.プレデター』にしても、結局はどこかにイマイチ感が残ってしまう人なんだろうな。
●主なスタッフ
撮影は『16ブロック』のグレン・マクファーソン、編集は『バイオハザード III』のニーヴン・ハウィー。プロダクションデザインは『ラースと、その彼女』のアーヴ・グレイウォル、衣装は『シューテム・アップ』のデニース・クローネンバーグ。
音楽はトムアンドアンディ、サウンドチームは『デス・レース』のコール・アンダーソンやスティーブン・バーデン。
SFXは『インクレディブル・ハルク』などのマーク・ロートン、VFXは『トロン:レガシー』のデニス・ベラルディ、スタントは『エイリアンVS. プレデター』のリック・フォーサイス。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント