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2013/02/25

エアベンダー

監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ノア・リンガー/デヴ・パテル/ニコラ・ペルツ/ジャクソン・ラスボーン/ショーン・トーブ/アーシフ・マンドヴィ/クリフ・カーティス/セイチェル・ガブリエル/キャサリン・ホートン/フランシス・ギナン/デイモン・ガプトン/サマー・ビシル/ランダル・ダク・キム

30点満点中15点=監3/話3/出2/芸3/技4

【4つのエレメントを統べる力】
 気・水・土・火の各要素を操る“ベンダー”がいる世界。4つを統べ、この世に調和をもたらす“アバター”が突如として姿を消してから100年が経過し、その間、火の国は侵略の手を広げていた。ある時、水のベンダーであるカタラとその兄サキは氷漬けの少年アンを助ける。彼こそアバターだったが、まだ修行中で気を操る力しか持たない。アンの成長を阻止しようと、ズーコ王子やジャオ司令官ら火の勢力が水の国に迫るのだった。
(2010年 アメリカ)

【華がない】
 原作はニコロデオンのアニメ。要するに子ども向け。それをシャマランともあろう者がそのまんま子ども向けに、しかも面白味なく仕上げてしまった映画。

 西洋的な四大元素説に、チベット仏教や拳法といった東洋的思想をミックス、イヌイットやスチームパンクまで混ぜ込んだ多国籍&無時代設定と世界観、スピーディな展開などはそれほど悪くないと思う。
 人と関わることを禁じられたためアバターの立場から逃げ出した主人公、彼を助けるさまざまな人々、父に認められない敵役主要人物たるズーコといったキャラクター配置も、マズマズ。「火の技はズーコから教わることになるのかなぁ」などと今後の展開を期待させるものでもある。

 撮りかたも、たとえば土の国でのバトルを1カット長回しで見せる大胆さがあるかと思えば、悔しさに拳を握りしめるズーコ、アンをおびき寄せた老人が金を受け取るカットなど、必要なものを適確にポンと入れる手堅さもあって、ダメダメではない。
 火や水の動きなどは、映画界がこれまで蓄積してきたCG/合成技術の集大成という印象もあり、なかなかに見せる。

 が、トータルでいうと「フツーに面白くない」ということになる。

 最大の弱点は、役者たちに魅力がないこと。
 アン役ノア・リンガーとズーコ役デヴ・パテルはテコンドー経験者。動きにリアリティをもたらそうというキャスティングの意図は悪くないんだけれど、子ども向けファンタジー・アドベンチャーの主役級としてはインパクトにも感情移入促進効果にも欠ける外観と芝居。
 それ以外の役者も、全体として華がない。アイロ将軍を演じたショーン・トーブだけは味があったけれど、他の面々は強さや弱さや思惑を上手く表に出せていないように思えるし、氷に閉ざされた国の王女がカリフォルニアっぽいとか理解しがたいキャスティング。

 wikipediaによると「原作ではアジア人とイヌイット族のキャラクターが多く登場するが映画では白人ばかり。人種差別反対運動にまで発展」だそうだけれど、実際にはインド系、ユダヤ系、アラビア系にマオリにアジア系と多国籍人種を揃えてある。ただし本来なら「多国籍&無時代設定と世界観」をいい方向に増長させるキャスティングも、役者ひとりひとりにパワーがないため、ただゴッチャゴッチャという印象だけを観る者に与えている。

 売りであるはずのアクションも、スローに頼りすぎて拳法の持つスピード感を阻害してしまっているし、そもそも「ただ型を披露して気や火や水や土をぶつける」だけなので、バリエーションにも乏しい。
 せっかくの精霊たちも見せ場は少なく、画面作りにはどことなく『スター・ウォーズ』『LOTR』を意識している部分が散見されるなどオリジナリティにも欠ける。

 要素だけは揃えたものの「こうすれば面白くなる」という部分を十分に煮詰めきらないままカタチにしてしまった、という仕上がり。原作が人気アニメ+シャマランということで期待度は高かったのだろう、ゴールデンラズベリー賞で8部門にノミネートされ5冠を達成と、不名誉な結果になってしまったのだが、まぁそれも無理はないかなぁ。
 全三部作の予定だったそうだが、IMDbで監督やプロデューサーや原作者の予定を見ても次回作以降はアナウンスされていないので、このままフェードアウトしてしまうのかも知れない。

●主なスタッフ
 撮影は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『ラブリーボーン』のアンドリュー・レスニーなので、見た目の雰囲気が似ていても当然か。編集は監督の前作『ハプニング』『ザ・シューター/極大射程』などのコンラッド・バフ。
 プロダクションデザインは『オーシャンズ』シリーズなどのソダーバーグ作品や『8Mile』のフィリップ・メッシーナ、衣装デザインは『ダレン・シャン』『X-MEN:ファイナルディシジョン』のジュディアナ・マコフスキー。
 音楽は『レディ・イン・ザ・ウォーター』のジェームズ・ニュートン・ハワード、サウンドは『ゾディアック』のリチャード・ヒムズと『エラゴン』のランディ・トム。
 SFXは『トゥルー・グリット』『ソーシャル・ネットワーク』のスティーヴ・クレマン、VFXは『ジャーヘッド』などのパブロ・ヘルマンとILMを中心とするチーム。
 スタントは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のジェフ・ハバースタッドで、ファイト・コーディネーターは『クリスタル・スカル』のベン・クークや『グリーン・ゾーン』のマーク・ラウンスワイト。アクター・トレーナーとして『エクスペンダブルズ』でジェット・リーのスタントダブルを務めた人物がクレジットされている。
 オスカー級や、この手の映画には慣れている人がゴロゴロいるのに、この仕上がりではもったいない。

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