プレデターズ
監督:ニムロッド・アーントル
出演:エイドリアン・ブロディ/トファー・グレイス/アリシー・ブラガ/ウォルトン・ゴギンズ/オレグ・タクタロフ/マハーシャラルハズバズ・アリ/ルーイ・オザワ・チャンチェン/ダニー・トレホ/ローレンス・フィッシュバーン
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【プレデターvs戦士たち】
突然、見知らぬジャングルに叩き落された男女。銃やナイフを手にした彼らは、勇敢な戦士や傭兵、あるいはヤクザや凶悪な殺人犯だ。「さっきまで戦場にいたはずなのに……?」。やがて一同は、自分たちが狩猟ゲームの獲物として何者かに連れて来られたと気づく。ここは未知の惑星、捕食者(プレデター)たちの猟場なのだ。姿の見えない3体のプレデターが、ジワリと彼らを追い詰めていく。逃げるか、それとも戦うか。
(2010年 アメリカ)
【全体に雑。もっと面白くできたはず】
ファーストカットからメインタイトル、そして戦士たちの遭遇と、一気に観る者をこの世界へ、有無をいわせず叩き込む力技が素晴らしい。
ただ、それ以後は意外と大人しく、オープニングの衝撃度から抱いた期待には応えられていない印象だ。
たとえば「ここがどこなのか」「自分たちは何をするべきなのか」を描いていく序盤は、みんな“わかってる風”でパニックもなく、観客と一緒に強引に事態を納得していくような流れ。空に浮かぶ衛星など、ヴィジュアル的な“気づき”がもっとあれば面白かったのだが。
戦闘やアクションも売りのはずだが、それほど独創的ではなく、ただ追われて撃って斬って、というだけ。ほぼジャングルのみという見た目の変化の乏しさ、武器のバリエーションの少なさも、ちょっと寂しい。
個性的なキャラクターが揃っているし、それぞれに見せ場も用意されているのだけれど、もっと際立たせてもよかったんじゃないか、と思う。地形や状況を生かした戦闘もあってよかったんじゃないか、と思う。先達が仕掛けた罠や日本刀で戦うヤクザのように、コイツはゲリラ戦が得意だとか、こっちは力持ちだとか、ここは先が行き止まりだとか、そういう個性とアクションとの連携があまり見られないのがもったいない。
どちらかといえば学者とか芸術家タイプのエイドリアン・ブロディが、頑張って傭兵をやっているものの、それはやっぱり「頑張って」であって、説得力に欠けるのも難点。ローレンス・フィッシュバーンなんか、この世界で長く生き残っている割には、ちょっとムダ肉が付きすぎてないか?
要するに、全体として雑なのだ。美術とかサウンドとか特殊効果とかメイキャップとか、細かな部分にまで配慮してしっかりと作ってあるのだが、そうした配慮と同じくらい、詰めの甘い部分、もうちょっと考えればリアリティも迫力も増すのにスルーされている部分が、けっこう多い。
ま、滝へ落下するシーンなど全体的にスピード感は良質、VFXも水準以上だし、単純な割にどっちへ転がるか予断を許さないストーリーなど、それなりの面白さはあって退屈することはない。
でも、もっといい映画にできたはず、という印象は拭えない仕上がりだ。
●主なスタッフ
監督は『アーマード 武装地帯』のニムロッド・アーントル。脚本は『ハンティング・パーティ』のプロデュース・チームにいたアレックス・リトヴァクと、マイケル・フィンチという新人か。撮影のギュラ・パドスは、これまで文芸系の作品をメインに手がけてきた人の模様。編集は『AVP2』や『マックス・ペイン』などのダン・ジマーマン。
プロダクションデザインは『デス・プルーフ』のスティーヴ・ジョイナーと『キル・ビル』などに携わったケイラ・エドルブラット。衣装は『シン・シティ』のニナ・プロクター。
音楽は『スコーピオン・キング』のジョン・デブニー、サウンドは『トロピック・サンダー』のポーラ・フェアフィールド、『プラネット・テラー』のウィリアム・ジェイコブス、『ラッキーナンバー7』のカーラ・マーレイといったチーム。
プレデターの造形・特殊メイクは『ミスト』のクリーチャーデザインを担当したグレゴリー・ニコテロとハワード・バーガー。SFXは『ラストサムライ』のディック・ウッド、VFXはロバート・ロドリゲス(本作のプロデューサー)のスタジオが中心。
スタントは『イングロリアス・バスターズ』のジェフリー・F・ダッシュナウや『ブラック・スネーク・モーン』のスティーヴ・M・デイヴィソンらで、例の滝のシーンはワールド・スタント・アワードで「Best High Work」を受賞している。
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