特攻野郎Aチーム THE MOVIE
監督:ジョー・カーナハン
出演:リーアム・ニーソン/ブラッドリー・クーパー/ジェシカ・ビール/クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン/シャールト・コプリー/パトリック・ウィルソン/ジェラルド・マクレイニー/ヘンリー・ツェルニー/ブライアン・ブルーム/ユル・ヴァスケス/モーリー・スターリング/テリー・チェン
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【裏切られたAチームの逆襲が始まる】
大胆奇抜な策略家ハンニバル大佐を筆頭に、女に目のないフェイス、暴れん坊のB.A.、ヘリの凄腕操縦士マードックからなる米軍の秘密部隊アルファ・ユニット、通称“Aチーム”。数多くの困難な作戦を成功させてきた彼らは、今回もバグダッドから運び出される偽ドル紙幣とその原版の強奪という任務を無事に成功させる。だが彼らを待っていたのは何者かの裏切り、そして投獄。4人はCIAと手を組み、名誉回復の作戦へと向かう。
(2010年 アメリカ)
【意外と楽しめる仕上がり】
3Dや、ホンマもんの3Dや!(笑) 『アバター』から1~2年で、こういう「3Dパロディ」をサラっとシレっとブチ込んでくるあたりが、ハリウッドに根づくサービス精神なんだろう。
サービス精神といえば、本作は笑える部分をふんだんに用意。愛車をペシャンコにされた際にB.A.が見せる情けない怒り顔(クイントンが好演)がサイコーだ。
作りとしても「とにかく楽しませますよ」という意識だけで突っ走る。
ちゃんと見えなくても雰囲気さえ伝わればそれでいい、という開き直ったアクションや画面作り、あるいは『バウンド』で試みられた「ブリーフィングと実行動のカットバック」など時制・編集の工夫で疾走感と迫力を創出。
空中戦や爆破、横転する貨物船など、要所で効果的かつ豪胆に用いられるVFXは実写との境目がわからぬほどのクォリティで、作品にスケール感を与えている。
説明を端折ってドンドン進むストーリーのテンポもよく、全体に、ワクワクニヤニヤしながら観ていられるエンターテインメントだ。オリジナルへのリスペクトも盛り込んであるし。
ただ、『特攻野郎Aチーム』でなきゃならなかったか、というと、そうでもないような気がする。細部をイジれば『MI』シリーズでも『G.I.ジョー』でも通用するようなお話とアクションだろう。
でもプロジェクトとしては、これでOK。十分に上等なセンスや技術やアイディアがあって、でもそれだけじゃインパクトに欠けて、客を呼べる超ビッグネームもいないんだから、往年の名作へのノスタルジーとそのネーム・バリューを借りて売るってのは、いいチャレンジ。
もちろん、中身がツマンないとそれこそ観客に対する裏切りになってしまうけれど、これくらい面白いなら許される。
難点をあげれば、たくさん出てくる。
まず、他の部隊ではやれなかった仕事をAチームが成功させてしまうなど彼らの“凄さ”を示すエピソードは欲しかったところ。Aチーム・メンバーの部隊への帰属意識に関する描写も希薄だし、ソーサだってもっと能力のある女性として活躍させてあげないといけなかったんじゃないか。
そういうキズはあるものの、結構楽しませてくれる仕上がりであることは間違いない。「別にオリジナルに思い入れもないしね」とか「まぁヒマつぶしになれば」くらいの気持ちで観ればさらに、おっ、期待していたより愉快じゃん、となるはずだ。
●主なスタッフ
脚本は『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のジョー・カーナハン監督自身とブライアン・ブルーム、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のスキップ・ウッズ。
撮影は『キングダム/見えざる敵』のマウロ・フィオーレ、編集は『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』のロジャー・バートンと『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』のジム・メイ。
プロダクションデザインは『ミニミニ大作戦』のチャールズ・ウッド、アート・ディレクターは『ウォッチメン』のヘレン・ジャーヴィス、衣装デザインは『ハプニング』のベッツィ・ハイマン。
音楽は『マウス・ハント』のアラン・シルヴェストリ、サウンドは『ブラック・スワン』のクレイグ・ヘニガンと『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のジョン・A・ラーセン。
SFXは『X-MEN:ファイナルディシジョン』のマイク・ヴェジーナ、VFXは『LOTR』のジェームズ・E・プライスやガイ・ウィリアムス、『スター・トレック』のケリー・ポートら、デジタル・ドメインとWETAが中心となったチーム。
スタントは『アンノウン』のベン・ブレイ、『フォース・カインド』のフランク・トーレス、『88ミニッツ』のオーウェン・ウォルストロムら。
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