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2013/03/21

クレイジーズ

監督:ブレック・アイズナー
出演:ティモシー・オリファント/ラダ・ミッチェル/ジョー・アンダーソン/ダニエル・パナベイカー/クリスティー・リン・スミス/ブレット・リッカビー/プレストン・ベイリー/ジョン・アイルウォード/ジョー・リーガン/グレン・モーシャワー/ラリー・セダー/マイク・ヒックマン/リサ・K・ワイアット/ジャスティン・ウェルボーン

30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【広がる感染、閉じ込められた人々】
 人口1260人のオグデンマーシュ。ほとんどが顔見知りという小さなこの町で、目を虚ろに、気だるい反応しか示さない人間が現れ始め、さらには郊外の川底で墜落した航空機が発見される。積荷から何かが漏れ出して感染が広がっているのではないかと考える保安官デヴィッド。だが外部との通信は遮断され、やがてものものしい数の軍隊が町を取り囲む。妻ジュディと引き離されたデヴィッドは、助手ラッセルと救出に向かうのだが……。
(2010年 アメリカ/UAE)

【1つのスタンダード】
 御大ジョージ・A・ロメロの1973年作品をリメイクしたもの。オリジナルは未見だが、たぶんしっかりと進化させているんじゃないだろうか。

 上手いのは緩急の使いかた。
 もちろんショッキングなシーンや突然の驚かせも続出するのだけれど、勢いだけで押すのではなく、適度なリズムを作っているという印象。とりわけ序盤、落ち着いた流れの中で、舞台が小さな町であること、そこへ静かに忍び寄る危機を描いていくあたりはスリリングだし、デヴィッドの家~洗車機までのシークエンスは緊張と緩和が効いていて上質だ。
 墜落機の見せかたも面白く、ちょっとあからさまだけれど、あまり多くを語らず見せてわからせるような作りも特徴といえる。

 そうして表出させていくのは“本当に怖いもの”といったところだろう。単に感染者に襲われることだけではなく、自分は感染しているんじゃないかという不安、愛する者と引き離されることへの焦り、市民の暴徒化……。この手の映画では必ず登場する「わからずやのお偉いさん」も、考えてみればすぐそこに潜む恐怖だ。
 その中でも特に「昨日まで当たり前だったものが壊される恐怖」を印象づけるべく、野球の試合があったり恋があったり子どもにDSを持たせたり窮地にあっても洗濯物を取り込んだり妊娠を絡めたりして、日常を蝕んでいく非日常、というものを匂わせる。

 まぁこのあたりは既存の同種映画でもテーマとして据えられていたものであるわけだが、いいかえれば1つのセオリーであり、それを適度なリズム感でスマートにまとめてみせたのが本作の魅力だろう。

 それと、勘のいい主人公(30年前だったらもっと行動が後手に回っていただろうね)、突然やって来て仕事が素早くって説明なしで強引で誰も逃げられないよう自動車のタイヤをロックまでしてしまう軍(これも頭の悪い映画だとクドクドやっちゃったり簡単に住民に出し抜かれたりしちゃうところだろう)など、「観る者の先を行く、あるいは少なくとも併走する」ような展開の作りかたも上質だ。
 こういう「ワケがわからんままに事態が進行してしまう」スピード感は、感染パニック映画における1つのスタンダードとして仕上がっているといえるんじゃないだろうか。

 惜しむらくは、何だかわからないけれどマズイことになっているぞ、意外とこの主人公鋭いぞ、という雰囲気を一貫できず、後半で少しわかりやすくしすぎたり行動を躊躇させてしまったりした点か。
 でも、それを差し引いても良くできているとはいえそうだ。

●主なスタッフ
 脚本は『マシニスト』のスコット・コーサーとB級サスペンスを手がけてきたレイ・ライト。
 撮影は『ミラーズ』のマキシム・アレクサンドル、編集は『ブラック・スネーク・モーン』のビリー・フォックス。
 プロダクションデザインは『ナイト&デイ』のアンドリュー・メンジースで衣装は『ハート・ロッカー』のジョージ・L・リトル。
 音楽は『告発のとき』などのマーク・アイシャム、サウンドチームは『パブリック・エネミーズ』のローレン・コサイアンとジェレミー・ピアソン。
 SFXは『インベージョン』のデイヴィッド・フレッチャー、スペシャルメイクは『ゾンビランド』のレオ・コリー・カステリャーノ。
 VFXは『the EYE』のマイク・アグッチーノ、スタントは『トロピック・サンダー』でセカンドユニットディレクターを務めたE.J.フォアスターと『アイアンマン』のクリス・カーネル。

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