魔法使いの弟子
監督:ジョン・タートルトーブ
出演:ニコラス・ケイジ/ジェイ・バルシェル/アルフレッド・モリナ/テレサ・パーマー/トビー・ケベル/オマー・ベンソン・ミラー/アリス・クリーグ/ジェイク・チェリー/ペイトン・リスト/グレゴリー・ウー/ジェームス・A・スティーブンス/モニカ・ベルッチ
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4
【魔法使いとその弟子の宿命】
西暦740年、魔女モルガナと戦っていた魔法使いマーリンと、その弟子のバルサザール、ヴェロニカ、ホルバート。だがホルバートの裏切りによってマーリンが倒れ、ヴェロニカは我が身を犠牲にしてモルガナとともにグリムホールド(入れ子人形)の中に閉じ込められる。以来1000年、ヴェロニカを救い出し、モルガナを完全に葬るためマーリンの後継者を探し続けるバルサザールは、現代のNYで大学生デイヴと出会うのだが……。
(2010年 アメリカ)
【ワクワクの足りない仕上がり】
監督のジョン・タートルトーブは、『キッド』は良かったしTVシリーズの『ジェリコ』(打ち切りになったけど)や『ハーパーズ・アイランド』も面白かったものの、『ナショナル・トレジャー』がヒット作の割にはイマイチだったので、あまりいい印象はない。
で、本作も“この程度”のデキ。
オープニングはいいと思う。マーリンとモルガナの戦い~彷徨うバルサザールのくだりは、ほとんど映画2本分に相当する内容をダイジェストで見せて物語世界への導入を成功させているし、デイヴの少年時代のエピソードも本編へつながるクッションとして機能している。
中盤ではホウキやモップで失敗するパート(『ファンタジア』のミッキーですな)で楽しませてくれるほか、テスラコイルと音楽との融合もアクセントになっている。
が、トータルで見ると、なんとなく甘いというか、本当に映画を面白くするための詰めのセンスに欠けているというか。
たとえばアクションは、魔法使いvs魔法使いのクセにそれほどバリエーションは多いといえず、カースタントで誤魔化すなどしているし、そもそも対決シーンじたい少なめで短め。それでも見せ場それぞれがグァっと盛り上がればいいんだけれど、やや一本調子。「こうなるとマズイ」という危機感が薄く、緩急のつけかたもマズイ。
現代風の言葉を話す現代っ子と1000年生き続ける魔法使いという関係ももっと楽しく描けたはずだし、デイヴが「人と人との関わり」に目覚めてバルサザールに協力する過程だってさらに掘り下げられたはず。ベッキーがデイヴに惚れるのも単純すぎる。
キャストでいうと、まぁニコラス・ケイジはこんなもんだし、ベッキー役テレサ・パーマーも可愛いんだけれど、アルフレッド・モリナは役柄に比べて強烈な個性に欠け、モニカ・ベルッチは出てるだけ。
デイヴ役ジェイ・バルシェルは、こういうキャラクターだから仕方ないとはいえど、それにしてもまぁ華がない。
決定的に「ここはまったくダメ」と言い切れるわけじゃない。手堅くまとめてある。恋とユーモアを散りばめ、サントラを休みなく響かせ、デートムービーらしいパッケージングは整っている。
でもいっぽうで「ここが抜群にいい」と褒める部分もない。ラブとアクションで盛り上げようとするけれど、そのどちらも中途半端で、ワクワクの足りない仕上がり。
続編も作りたい、というか、新たな人気シリーズにしたい、という狙いもあったんだろうが、これではちょっとキツイかな。
●主なスタッフ
原案は『ベッドタイム・ストーリー』のマット・ロペス、『エラゴン 遺志を継ぐ者』のローレンス・コナーとマーク・ローゼンタール。脚本はマット・ロペスに加えて『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』のダグ・ミロとカルロ・バーナード。浅い仕上がりになって当然か。
撮影は『Mr.&Mrs.スミス』のボジャン・バゼリ、編集は『ゴーン・ベイビー・ゴーン』のウィリアム・ゴールデンバーグ。プロダクションデザインは『ラブリーボーン』のナオミ・ショーハン、衣装は『ブレードランナー』のマイケル・カプラン。
音楽は『守護神』のトレヴァー・ラビン、サウンドチームは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジョージ・ワッターズII世やシャノン・ミルズら。SFXは『アンストッパブル』のジョン・フレイジャー、VFXは『アイアンマン』のジョン・ネルソン、スタントは『LOTR』シリーズのジョージ・マーシャル・ルーグ。
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