ふしぎの国のアリス
監督:クライド・ジェロニミ/ハミルトン・ラスケ/ウィルフレッド・ジャクソン
声の出演:キャサリン・ボーモント/ビル・トンプソン/エド・ウィン/ジェリー・コロンナ/スターリング・ホロウェイ/リチャード・ヘイデン/ヴェルナ・フェルトン/パット・オマリー/ジョゼフ・ケーンズ/ヘザー・エンジェル/クイーニー・レナード/ディンク・トラウト/ジム・マクドナルド
吹き替え:土井美加/牛山茂/西本裕行/逢坂秀実/関時男/小山武宏/吉田幸紘/小沢寿美恵/吉田幸紘/野村隆一/小山武宏/吉水慶/宝亀克寿/後藤真寿美 /熊倉一雄
30点満点中15点=監3/話3/出3/芸3/技3
【少女が迷い込んだ不思議な世界】
姉さんの歴史の授業はとても退屈。時計を持って「遅刻する」と大慌ての白うさぎを追って、アリスは庭の深い穴へと落ちていく。辿り着いたのは不思議な世界。しゃべるドアノブ、踊るドードー、歌う花やイモムシ、双子のトゥイードル・ディーとトゥイードル・ダム、現れては消えるチェシャ猫、ティーパーティー中のマッドハッターと三月うさぎ、恐ろしいハートの女王などがアリスを迎える。彼女は家に帰ることができるのか?
(1951年 アメリカ アニメ)
【ちょっとノれない】
英和辞典と首っ引きで読んだときにはもうちょっと面白かったんだが、この映画に関しては「う~む」という感じ。
いや、頭のおかしい連中が繰り広げる頭のおかしい話だということはわかっていた。でもそれを、リアルタイムかつノンストップで進めていくのがちょっとバツ。アリスが奇妙なキャラクターたちと出会って惑わされる、という展開がズルズルっと続いて単調だ。
そのキャラクターたち、確かにみなユニークなんだけれど、デザインのバリエーションが乏しいというか、統一感がありすぎる。芝居や動きもディズニー・アニメとしてティピカルかつスタティックだ。
思えば『トイ・ストーリー』では、それぞれ違うメーカーで作られたおもちゃだという雰囲気が、デザイン的にも動き的にもたっぷりと出ていた。それに比べると各キャラクターの魅力が十分に弾けていないと感じる。
ヒロインであるアリスのみ、おしりとふくらはぎが目立つプロポーションとやや浅黒い肌の色がアリス像をいい意味で突き破っており、大袈裟な芝居も可愛いのだけれど、あまりに身勝手な性格が難。
各場面は奥行きより横方向を重視、スタジオ内に作られたセットで撮っているようなイメージ。レンズのサイズが乏しく、舞台を大きく捉えるカットはようやくハートの女王のシーンで見られるくらい。結果、世界が狭苦しく感じられてしまう。
3名の監督と音楽のオリヴァー・ウォーレスは『ピーター・パン』などと共通であり、いわば当時のディズニーにおけるエースであるはず。でも、どうもデキには納得しかねる。
ミュージカルであるわけだが、吹き替えで見た場合、訳詩も歌声も気に入らない。ボイスキャストも、土井美加はアリスにしてはお姉さんっぽいし、その他の面々は沈んだ調子でやや聴き取りづらく、印象に残りにくい脇役っぽい声質で、田舎臭い芝居。
調べてみたら、土井美加、牛山茂、西本裕行(スナフキンの人なんだ)、以下みぃんな劇団昴。ディズニー作品にもアニメにも慣れた面々ながら、その“背景の同じさ”が個別のキャラクターを浮き上がらせることを阻害しているんじゃないだろうか。
まぁ、このキ印的世界を素直に楽しいと感じられればノれるのだろうが、世界を表現する手際に疑問を抱いてしまった。
ある意味で「そりゃあ60年も前の作品だもの。アニメとしての技法や演出術も、吹き替え(ベースが作られたのは1984年。2001年に同じ声優陣で追加録音されたらしい)のキャスティングや翻訳のクォリティも、いま観れば古くて未熟だと感じて当然だよね」ということを確認できる作品といえるかも知れない。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント