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2013/04/09

アリス・イン・ワンダーランド

監督:ティム・バートン
出演:ミア・ワシコウスカ/ジョニー・デップ/アン・ハサウェイ/ヘレナ・ボナム=カーター/クリスピン・グローヴァー/マット・ルーカス/マートン・ソカス/ティム・ビゴット=スミス/リンゼイ・ダンカン/ジェラルディン・ジェームス/レオ・ビル/フランシス・デラトゥーア/ジェマ・パウエル/ジョン・ホプキンス/エレノア・ゲックス/エレノア・トムリンソン/マイリー・エラ・シャーレン
声の出演:マイケル・シーン/スティーヴン・フライ/アラン・リックマン/バーバラ・ウィンザー/ポール・ホワイトハウス/ティモシー・スポール/マイケル・ガフ/イメルダ・スタウントン/クリストファー・リー

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸4/技3

【アリス、ふたたびワンダーランドへ】
 子どもの頃から20歳が近づくいまでも、同じ不思議な夢に悩まされているアリス。恩義あるアスコット卿の長男ハミッシュから求婚された彼女は、即答できずその場から逃げ出し、庭にあった深い穴へ落ちる。そこは赤の女王が恐怖で支配するワンダーランド。マッドハッターや白うさぎは預言書を取り出し、アリスこそ怪竜ジャバウォッキーを打ち破って世界を救う者だと信じていたが、アリス自身はこれがいつもの悪夢だと思い込んで……。
(2010年 アメリカ)

【王道+わかってる+ちょっぴりの狂気】
 ディズニーの割には奇抜でダーク。そんなのは観る前からわかっていたはず。それでもあまり評判が芳しくないのは、意外とバートンの割には毒がないよね、という仕上がりのせいか。
 まぁ確かに、いきなり人やモノが現れたり髪形が変わったりといった唐突さ、原色たっぷりのサイケデリックな美術などは目を引くけれど、わかりやすいというか、いつもより“トチ狂った感”とか不条理さは抑え目。それが逆に良くなかったのかなぁ。
 でも、これって“わかってらっしゃる”映画だと思う。

 たとえば3D関係(今回は2Dで観たけれど)。この技術って立体感によってリアリズムをアップさせるのではなく、世界を箱庭的に見せて「不思議の中に迷い込む楽しさ」を味わうものだろう。
 だから『アバター』だって『カールじいさん』だって『トロン』だって、3Dセンセーションは現実世界ではなく秘境や架空世界が舞台なんだ。

 今回の行き先はワンダーランド。しかも主人公は小さくなる。実はこれほど3Dにふさわしい舞台はないんじゃないか。まぁ全体にCGっぽさやカキワリっぽさは気になるけれど、技術と世界観とのマッチングという点では、もう「これ3Dでやろうぜ」と思いついた瞬間に勝利だろう。

 それと、主演のミア・ワシコウスカ。正直いって予告編やチラシの時点では華がないし美形でもないし、われわれがイメージする「ロリータのシンボルとしてのアリス」とはかなり違うと思ったのだが、これが正解。
 あの時とは違うアリス、成長途上にいるアリス、普通の少女としてのアリスという立ち位置なんだから、これくらいがちょうどいい(生身の女性として見れば結構キュートだし。ああ、少女時代のアリスは目のフチがちょっと病的でバートンっぽいけれどね)。

 それに、アン・ハサウェイ(ずっと手を上げっぱなしなのが、たまらなく愛おしい)とヘレナ・ボナム=カーター(楽しんで演ってます)、どちらもお姫様系ビューティと怪女優としては超A級だ。そこに挟まれようと思ったら、ただの美女やアヤシサではダメ。
 むしろ「とびっきりの美女でも変人でもなく、ほどほどの美しさとおかしさを内包し、それがじわっと滲み出してくる、女の子と女性との中間にある存在」でなければならない。ならば適役ワシコウスカだ。

 あとは、お話。ジョニー・デップのファンにとっては見せ場が少なくって物足りないのかも知れないが、そのぶんアリス以外のキャラクターが必要以上に出しゃばることのない、真っ当な冒険譚として成立している。
 不遇、悩み、突然の英雄扱い、自分をかばってくれた人への恩義、潜入と企み、協力、導き、決心と目覚め、アクションと大団円。ヒロイック・ファンタジーの王道を突き進む。

 原作にもあるような言葉遊びやバートン流の狂気めいたものがベールとなって見えにくいけれど、現実の中にも変を散らし、あっちもこっちも変わらないことを印象づけ、決めるのは自分であること、「カラスと書き物机はどこが似ているか?」と答えのない問いを考え続けることの大切さなど、ディズニー風成長物語としての骨格もキープ。
 そして「ワンダーランドとは、まだ子どもでも大人でもないひとりの人物の前に広がる未来そのもの」へと収束させる。

 シナリオは『美女と野獣』などディズニー王道作品を手がけたリンダ・ウールヴァートンで、その健やかな英雄譚を、バートンがほどよく、「はい、何をやらなきゃいけないか、何をやっちゃいけないか、わかってますから」と味つけした映画といえるんじゃないだろうか。

●主なスタッフ
 撮影は『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのダリウス・ウォルスキー、編集は『チャーリーとチョコレート工場』『アンストッパブル』のクリス・レベンゾン。
 プロダクションデザインは『アバター』のロバート・ストロンバーグ、衣装は『スウィーニー・トッド』『パブリック・エネミーズ』のコリーン・アトウッド。
 おなじみダニー・エルフマンやケン・ラルストンといった巨匠も参加。

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