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2013/04/24

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

監督:神山健治
声の出演:田中敦子/阪脩/大塚明夫/山寺宏一/仲野裕/大川透/小野塚貴志/山口太郎/尾形雅宏/杉山大/大野エリ/玉川紗己子/榊原良子/山内菜々/鈴木泰明/たてかべ和也/内田夕夜/石田圭祐/天田益男/魚建/岩尾万太郎/玄田哲章

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【新たな組織、新たな敵】
 「個別の11人」事件が解決を見た後、少佐こと草薙素子が姿を消してから2年。大幅に人員が増強され、トグサをリーダーとする新体制で活動する公安9課は、日本へ亡命したシアク共和国将軍カ・ルマの信奉者が次々と自殺するという事件を捜査していた。9課は事件の陰に「傀儡廻」と呼ばれる凄腕ハッカーが存在することを突き止め、その正体が少佐ではないかとバトーは訝る。が、子どもたちの誘拐や議員暗殺未遂など事態は進展し……。
(2006年 日本 アニメ)

【S.A.C.のスペシャル版としてはいいけれど】
 タチコマisラブリー。コロっとしてやんちゃで哲学者。R2-D2とかジムシーとか、自分の好きなキャラクターって、どこか似ているなぁ。
 で、S.A.C.の2nd GIG最終回ではタチコマの行動に思わず泣いてしまったわけだが、彼らに再会できたのは嬉しい限り。でも作品そのもののデキには不満が残る。

 明かりや奥行の表現は美しく、クルマのスリップやモノの重さやしかめる顔や小さな身じろぎなど、かなり細かなところまで描き込んであり、それを多彩なアングルで見せてくれる。CGも、いくつかカクカクしたり浮いていたりする場面はあるものの、一応は効果的。「アニメーションとしてのベース部分」は、まずまずの仕上がりだと思う。

 が、1カットが微妙に長い部分があったり、歩く速度など1つ1つの動作テンポが遅めだったりで、全体的なリズムが悪い。子どもたちが登場する場面はなぜか必要以上にファンシーで、他のシーンとの落差が大きい点もちょっと難アリだ。
 またストーリー的にも、事件を追うことが中心になっていて、各キャラクターの深部どころか心理の表層も十分に描けていない、という印象。枝葉や遊びも少なくて、窮屈さも感じる。せっかく復活したタチコマ、もうちょっと活躍を見たかったとも思う。

 一貫して現代社会にも通じる問題を中心に据えてきたS.A.C.らしく、事件の裏に「高齢化社会」を置いたのはいいだろう。問題を先送りにしてきた責任を誰が取るのか、未来へのツケを誰が払うのか、という命題に傲慢さで応える政治家の存在も面白い。

 ただ「積み上げてきた個=自分を自分たらしめる情報あるいはゴーストを遺伝子の代わりに次代へ残す」とか「個の価値観がネット空間でハブを介して集積し、結果として形成された大いなる意志によって個が動かされる」というテーマ自体、もう随分と時間をかけて『攻殻機動隊』で描いてきたものであり、まぁそれが本シリーズの存在意義であるともいえるのだけれど、わざわざいまさら、という気がしないでもない。
 事件の果てにより大きな陰謀が発覚する、という設定も「笑い男事件」ではもっとスマートに採られていたものであり、やっぱり“いまさら感”が強く残る。
 それに、アクション的な見せ場も少ない。

 米帝風の多様性展開ドラマを、かなりハードなSFアニメでやってのけたのはS.A.C.の評価できるところ。本作もSF+刑事ドラマ+ポリティカル・サスペンスという構図をハイレベルに実現しているとは思う。
 ただ「S.A.C.であること」が前提になっていて、S.A.C.の後日譚というかスペシャル版としては上々ではあるものの、独立した1本の作品(作り手にそういう意図は一切なかったのだろうけれど)としては厳しい見かたをせざるを得ないんである。

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