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2013/05/30

RED/レッド

監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:ブルース・ウィリス/モーガン・フリーマン/ジョン・マルコヴィッチ/メアリー=ルイーズ・パーカー/カール・アーバン/ブライアン・コックス/レベッカ・ピジョン/アーネスト・ボーグナイン/ジェームズ・レマー/クリス・オーウェンズ/ジュリアン・マクマホン/リチャード・ドレイファス/ヘレン・ミレン

30点満点中19点=監4/話3/出4/芸4/技4

【オヤジたちの逆襲が始まる】
 CIAきっての凄腕スパイとして鳴らしたフランク・モーゼズだが、引退後は退屈な毎日、年金処理係のサラと電話で喋ることが唯一の楽しみだ。そんな彼が何者かの急襲を受け、サラにまで危機が迫る。どうやら大昔に関わった南米でのある作戦が原因で、CIAから追われることになったらしい。かつての上司ジョーや元同僚マーヴィン、MI6のヴィクトリア、仇敵だったロシアのイヴァンまで巻き込んで、オヤジたちの逆襲が始まる。
(2010年 アメリカ)

【現代風スパイ・エンターテインメントの1つの手本】
 アカデミー賞やエミー賞のノミネート数を合計すると軽く15を超えそうな豪華キャストが脇を固め、その中心にいるブルース・ウィリスはいかにもブルース・ウィリスらしいし、メアリー=ルイーズ・パーカーは『フライド・グリーン・トマト』の頃よりグっとチャーミング。
 そうしたメンバーが、肩の力を抜いて軽くお芝居をしながら、それでもしっかり存在感を示してくれる娯楽作。

 いやもう完全に娯楽作。退屈な日常から突然の銃撃戦、そこからドンドンと事件の核心に迫っていくスピード感、見せ場たっぷりのアクションもふんだんに盛り込んで、武器やセキュリティや人間関係などのディテールをちゃんと用意・描写しつつ、でも下手な説明は端折って、コミカルな場面(上滑りせずクスリとさせてくれる)で息を抜かせる……。
 とにかく「ハラハラとワクワクとニヤニヤを提供します。絶対に退屈はさせません」という意欲に満ちたパッケージングとバランス感覚が上質だ。エンディングのオマケシーンにまでカネをかけるサービス精神にも拍手を送りたい。

 見せかたとしても、薬莢のクローズアップなどシャープなカット、ぐるぐる回るカメラや西部劇風のズームアップ、スローモーションなど、多彩なサイズと効果で楽しませてくれる。

 監督の前作『きみがぼくを見つけた日』は、妻にも観せたいなと思わせた最近では数少ない映画。それだけ「1本の作品を、テーマに合わせて疑問なくまとめきる」という手腕に長けているのだろう。IMDbを見ると次回作はとんでもないSFアクションみたいなので、そちらにも期待したい。

 ま、当然ながら心に響くとか人生が変わるといった要素は皆無だし、終盤でちょっと強引になった感もあり、豪華キャストそれぞれに「その人だけにしかできない見せ場」というものがもうちょっと明確に用意されていてもよかったかな、とは思うものの、『ナイト&デイ』と並んで現代風スパイ・エンターテインメントの1つの手本として認識すべき1本。

●主なスタッフ
 脚本は『ホワイトアウト』のジョン・ホーバーとエリック・ホーバーで、あっちよりかなりいい仕事。
 それ以外のスタッフも結構豪華で、撮影は『ラブ・ダイアリーズ』『プラダを着た悪魔』のフロリアン・バルハウス、編集は『パッセンジャーズ』のトム・ノーブル。
 プロダクションデザインは『フェイクシティ ある男のルール』『運命のボタン』のアレック・ハモンド、衣装は『レイチェルの結婚』のスーザン・ライアル、音楽は『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』『トスカーナの休日』のクリストフ・ベック、音楽スーパーバイザーは『バレンタインデー』のジュリアンヌ・ジョーダン、サウンド・エディターは『ファイナル・ディスティネーション』シリーズや『アイランド』のデイヴ・マクモイラー。
 SFXは『キック・アス』『インクレディブル・ハルク』のレアード・マクマーレイ、VFXは『ダ・ヴィンチ・コード』のジェームズ・マディガン、スタントは『ダークナイト』のポール・ジェニングス。

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