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2013/05/01

怪盗グルーの月泥棒

監督:クリス・ルノー/ピアー・コフィン
声の出演:スティーヴ・カレル/ジェイソン・シーゲル/ラッセル・ブランド/伊井篤史/ウィル・アーネット/クリステン・ウィグ/ミランダ・コスグローヴ/デイナ・ゲイアー/エルシー・フィッシャー/ピアー・コフィン/ダニー・マクブライド/ジュリー・アンドリュース
吹き替え:笑福亭鶴瓶/山寺宏一/内海賢二/雨蘭咲木子/須藤祐実/矢島晶子/芦田愛菜/大塚芳忠/京田尚子

30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4

【大泥棒と3人の女の子】
 月を盗むという念願の計画に着手する自称世界一の怪盗グルー。だが資金は底を尽き、悪党銀行には融資を断られ、計画に必要な“物質縮め銃”も新進の盗賊ベクターに横取りされてしまう。養護施設で暮らす3人の女の子、マーゴ、イディス、アグネスを養子として招き入れ、彼女たちを利用してベクター邸から銃を奪い返そうと企むグルー。3人に情が移っていくグルーの様子を、彼の協力者である発明家のネファリオ博士は諌めるのだが……。
(2010年 アメリカ アニメ)

【「人」を描けていない】
 砂や水やメタリックの質感、ボケるフォーカスに多彩なカメラワーク、空中戦には迫力があり、ジェットコースターのスピード感も上々。ベクターのお尻のラインのキュートさとか、グルーのいかり肩とか、人物のフォルムもユニークだ。
 グルーが子ども嫌いであることやその傍若無人ぶりなどを軽快に示していく序盤から、全体に渡ってテンポもいい。「グルーレイ・ディスク」なんていう遊びもあって、細かなところまで気を遣って作っている気配もある。

 が、どうも「ガチャガチャしているなぁ」という印象。ベタなギャグやお決まりの展開などをどんちゃかと盛り込んで、それはまぁ「飽きさせずに突っ走ろう」という意識の表れなんだろうけれど、そればかり気にして煩すぎる展開になってしまっている。

 何よりの欠点は、人が描けていないことだろう。
 グルーが3人の娘を欠かせない存在として認識するようになり、3人もグルーを頼もしく感じていく、その過程は本作での肝であり、たっぷりと描くべき要素のはず。それが実にアッサリというか、ほとんどないに等しい。
 たとえば、あの家系図。グルーが母親から「アンタの代で終わりだね」と家系図の前でイヤミをいわれるシーン、けれども息子のことを心配している母親、といった場面があれば、どれだけ印象が違ったことだろう。

 だいたい、キャラクターが不安定。グルーのプライオリティがどこにあるのか曖昧だし、ネファリオ博士が果たす役割も描写不足。マーゴとイディスとアグネスの性格分けもクッキリしていない。
 主役級ばかりじゃない。冒頭、子どもが高いところから落ちるシーンでは母親は目を覆うべきじゃなかったか。パーキンス氏とベクターの関係も掘り下げられたんじゃないのか。
 愛らしいミニオンズだって、その活躍ぶりは想像の範囲内であり、もったいない扱いに終始する。

 このあたりが改善され、「生きた人間が起こすドタバタと交流」というイメージが出たなら、もっと楽しい映画になったと思うのだが。

 でも、ブタの貯金箱がアメリカでも日本でも同じ意味合い=子どもたちが健気にせっせと貯めたちょびっとのお金、を持つってのは、なんだかあったかい気持ちにさせられるなぁ。

●主なスタッフ
 脚本は『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』のシンコ・ポールとケン・ダウリオ。
 キャラクター・デザインは『レミーのおいしいレストラン』のカーター・グッドリッチ、アニメーション監督は『シャーク・テイル』のリオネル・ギャラットとファブリス・ユベール。
 編集は『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』のグレゴリー・パーラーら、プロダクションデザインは『アイアン・ジャイアント』のヤロウ・チェニィ。
 音楽は『ヘイヴン 堕ちた楽園』のヘイター・ペレイラと、『エニイ・ギブン・サンデー』『ラブ・アクチュアリー』などに楽曲を提供しているファレル・ウィリアムズ、音楽スーパーバイザーは『フロスト×ニクソン』などのキャシー・ネルソン、サウンドチームは『トロン:レガシー』などのクリストファー・スカラボッジオと『モンスター・ハウス』のデニス・レナード。
 VFXは『トランスポーター3』のクレア・バザート。

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