ルイーサ
監督:ゴンサロ・カルサーダ
出演:レオノール・マンソ/ジャン・ピエール・レゲラス/マルセロ・セレ/エセル・ロホ/ヴィクトリア・カレーラス/ディエゴ・ラスケ/パッチ・アルマス/ミゲール・ジョルダン/メレニア・ミグノネス
30点満点中17点=監3/話4/出4/芸4/技2
【独り残された彼女が生きる道】
初老のルイーサは、夫と娘に先立たれ、いまはアパートで独り暮らし。毎朝猫のティノに起こされ、毎日同じバスに乗り、霊園の受付けと女優の家の留守番、ふたつの仕事をこなして帰るだけの単調な生活を送っている。ところがティノが亡くなり、仕事もクビになって一文無し、バスは故障して初めて地下鉄に乗ることに。ホームや車内で目にした光景をヒントに、なんとか金を稼いでティノを埋葬してやろうと考えるルイーサだったが……。
(2009年 アルゼンチン/スペイン)
【生きていかなくっちゃならないのよ】
ルイーサの置かれた状況や人間関係を過度に説明せず、会話、展開、表情などで上手にわからせていく、映画的な作り。
たとえばコツコツと机を叩いたり置物の位置を直しながら時が過ぎるのを待つルイーサの様子で、規則正しく単調で退屈な彼女の日々を浮かび上がらせていく。女優クリスタルにお茶を振る舞われた直後、自分の家で自分の淹れたお茶を飲む姿は「きっとクリスタルの淹れかたが気に入らなかったんだろうな」と思わせる。
そういう語り口が上質。
見せかたも、俯瞰やローアングルをまじえ、サイズを工夫しながら場面を切り取り、テンポよくつないで画面にリズムを作る。
フィルムの鮮度が悪く、夢のシーンではいきなりホラータッチになっちゃうなど馴染めない部分もあるけれど、まずは軽快、人情コメディとしての体裁が整えられている。
で、描かれるのは、現状認識や諦めや覚悟や思い出などをひっくるめたところから見えてくる「結局のところ、なんだかんだあっても生きていかなくちゃならないのよね」、そのためには「いったん過去を清算して踏み出さなくっちゃ」という事実。
お先真っ暗なんだか、それとも無理やりにでも希望を感じ取るべきなのかよくわからないけれど、そうするしかないっていう、人の生きざま。
まとめとしては弱いけれど、そこそこ楽しく観られる小品である。
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