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2013/06/03

ツーリスト

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:アンジェリーナ・ジョリー/ジョニー・デップ/ポール・ベタニー/ティモシー・ダルトン/スティーヴン・バーコフ/ルーファス・シーウェル/クリスチャン・デ・シーカ/アレッシオ・ボーニ/ダニエル・ペッチ/ジョヴァンニ・ギデッリ/ラウル・ボヴァ/ブルーノ・ウォルコウィッチ

30点満点中17点=監3/話2/出4/芸4/技4

【国際的大事件に巻き込まれたツーリスト】
 ベネチアへと向かう列車の中、アメリカ人教師フランクは美女エリーズと出会う。彼女こそ国際的指名手配犯アレクサンダー・ピアースの恋人で、ピアース確保に執念を燃やす英国のアチソン警部ら当局の監視下にあった。いっぽうピアースに大金を奪われたショーとロシアン・マフィアは、フランクをピアースその人だと勘違いして彼を追う。犯罪者とその恋人、警察、悪党たち、そしてツーリストが入り混じっての追跡劇が幕を開ける。
(2010年 アメリカ/フランス)

【多くの人が期待したものではないかも】
 ソフィー・マルソー主演のフランス映画が原作で、『善き人のためのソナタ』の人を監督として迎えて、スーパースターふたりでリメイク。

 アンジーは、やっぱこういう「危険なお話を引っ張っていく」役柄が似合っている。エンディング近く、ある事実が明らかとなった際に見せる“リアクションのなさ”が、これまたいい具合に謎めいていて、いろいろ読ませたりもしてくれる。
 いっぽうデップは、いつもより“おっさん体型”とか静かさとかを前面に出して、やはり楽しい。
 脇では、ポール・ベタニーの“キツさ”も役柄にハマっているし、しっとりと老けたティモシー・ダルトンもカッコいい。

 前置きも説明もなく本題へと突入。観客はフランクとともに巻き込まれ、アチソンらと同様に振り回されることとなる。まぁこの手の映画としては妥当でスピーディで興味をそそる展開だ。
 ただし活劇は控えめ。超絶的なトリックとか鋭角的なスリルとかもない。フランクとエリーズの「こんな人を好きになっちゃうなんて」というロマンスや困惑がメインとなり、ウイットに富んだセリフも散りばめられて、アクション・サスペンスというよりオシャレ系ミステリーといった趣だ。
 加えて“人の二面性”がテーマとして用意されていて、前半と後半とで行動基準や立ち位置を変えるフランク&エリーズの様子も見どころだろう。

 でも昨今の流行からは離れている、といえそう。フランクの行動にはニヤリとさせられ、エリーズの振る舞いにもドキドキ感はあるのだけれど、全体としてはワクワクが少ない
 この顔合わせで国際的犯罪が題材となると、どうしても『ソルト』『ウォンテッド』海賊『パブリック・エネミーズ』を足した内容を期待してしまうのだけれど、意外と大人しくて手堅くて「!」がない。

 だいたい、謎の美女に観光地に巻き込まれ型って、ヒッチコック以来続くありがちフォーマット。オチも、それ以外につけようがない(つまり予想の範疇、というか本命)ものだし。そういう意味でも、ちょっと古めのオシャレ系ミステリーという雰囲気なのだ。

 余計な要素がなくって流れはスムーズだし、わかりやすいし退屈もしないし、あるいは「このオチで本当に整合性が取れているか」「エリーズはどういう気持ちでいたのか」を確認するためにもう一度観るべきかも、と思わせたりするけれど、期待したものでも、期待した以上のものでも、ない、というのが正直なところである。

●主なスタッフ
 脚本(脚色)は監督自身と『ユージュアル・サスペクツ』のクリストファー・マッカリー、『ゴスフォード・パーク』のジュリアン・フェロウズ。
 撮影は『ザ・ペーパー』のジョン・シール、編集は『ホリデイ』のジョー・ハッシングと『善き人のためのソナタ』のパトリシア・ロンメル。
 プロダクションデザインは『きみがぼくを見つけた日』のジョン・ハットマン、衣装は『アリス・イン・ワンダーランド』などのコリーン・アトウッド、音楽は『デュプリシティ~スパイは、スパイに嘘をつく~』のジェームズ・ニュートン・ハワード、サウンドは『告発のとき』のワイリー・ステイトマンと『SAYURI』のレニー・トンデッリ。
 SFXは『ヒアアフター』のカーミラ・ギッテンス、VFXは『アポカリプト』のテッド・リー、スタントは『ハンコック』のサイモン・クレイン。

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