デビルクエスト
監督:ドミニク・セナ
出演:ニコラス・ケイジ/ロン・パールマン/スティーヴン・キャンベル・ムーア/スティーヴン・グレアム/ウルリク・トムセン/クレア・フォイ/ロバート・シーハン/ブライアン・F・オブライエン/クリストファー・リー
30点満点中16点=監2/話3/出4/芸4/技3
【魔女とともに旅する騎士たち】
十字軍の遠征と魔女狩りが盛んにおこなわれ、教会が絶大な力を持っていた時代。ベイメンとフェルソンは数多くの戦場で武勇を重ねてきた騎士だったが、女こどもまで容赦なく斬り捨てる教会のやりかたに反発、軍から脱走する。ある町で捕えられたふたりは、恩赦と引き換えにひとつの仕事を引き受けた。それは魔女の疑いがある少女を修道院まで移送すること。神父や地元の騎士らと暗い森を抜け旅を続ける彼らに待っている運命は?
(2011年 アメリカ)
【面白さの創出が足りない】
真面目に作られているとは思う。
照明に気を遣った画面の捉えかた、中世欧州の鬱蒼とした森や城下町を再現した美術など、各パートの仕事はまずまず上質(音楽のみちょっと迫力不足か)。序盤から贅沢にCGを使って合戦の場面を畳み掛けるなどVFXも及第点以上だろう。
実際、スタッフは大作で腕をふるってきた面々だ。
豪快さと繊細さを併せ持つベイメンとフェルソンのコンビ、魔女とは思えぬ少女、職務に忠実な神父デベルザック、堅い地元騎士エッカート、騎士に憧れる少年カイ、詐欺師ハガマーといったキャラクター配置や、ラストへ至るまでの展開など、全体としてコミック的ではあるものの、それはそれで収まりのよさとして結実していると思う。
が、弾けない。というか、あまり面白くない。
まず、登場人物それぞれの人となりや抱えるものが十分に描けておらず、奥の浅さを感じさせる。数話あれば各人の過去や価値観を示すエピソードを盛り込みながら厚みを創出できただろうが、そのあたりを省いて短尺でまとめたものだから、薄い。そういう意味では「コミック的」というより全数巻くらいの「コミック向け」のストーリーといえる。
また見せかたとしても、スケール感やダイナミズムに欠け、アクションのバリエーションも少なく、「ここ!」というインパクトもない。ただ剣を振り回しているだけ。クライマックスなんか、もっといろいろ詰め込めただろうし、“やられかた”に緊迫感を与えられたはず。
なんだろう。脚本が詰め切れていないのと、「こう見せよう」という意志が燃えさかっていない、という感じかな。
ドミニク・セナって『60セカンズ』や『ソードフィッシュ』は面白かったんだけれど、『ホワイトアウト』、そして本作と続けて、作りの確かさや堅実さが「映画としての面白さ」につながっていない、という仕上がり。それが残念。
●主なスタッフ
脚本は、それほど話題になっていない(と思う)TVドラマなんかを手がけてきたブラギ・シャット。
撮影は『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』などのアミール・モクリ、編集は『X-MEN:ファイナルディシジョン』のマーク・ヘルフリッチと『マックス・ペイン』のダン・ジマーマン。
プロダクションデザインは『ザ・バンク 堕ちた巨像』などのウリ・ハニッシュ、衣装は『セントアンナの奇跡』のカルロ・ポッジョーリ。
音楽は『バンテージ・ポイント』のアトリ・オーヴァーソン、サウンドエディターは『スター・トレック』のスコット・マーティン・ガーシン。
SFXは『ハリ・ポタ』シリーズのポール・スティーヴンソン、VFXチームには『ヘルボーイ』、『ソーシャル・ネットワーク』、『ソルト』などに携わってきたメンバーが揃う。スタントは『インセプション』のトム・ストラザース。
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