サバイバル・オブ・ザ・デッド
監督:ジョージ・A・ロメロ
出演:アラン・ヴァン・スプラング/ケネス・ウェルシュ/キャスリーン・マンロー/デヴォン・ボスティック/リチャード・フィッツパトリック/アシーナ・カーカニス/ステファノ・ディマッテオ/ジョリス・ジャースキー/エリック・ウールフ/ジュリアン・リッチングス/ウェイン・ロブソン
30点満点中15点=監3/話2/出3/芸3/技4
【孤島は楽園となりうるのか?】
デラウェア州沖のプラム島では、ゾンビ駆除を訴える強硬派パトリック・オフリンと、知人を二度も殺すべきではないとするシーマス・マルドゥーンが対立、パトリックは追われることとなる。いっぽう米本土ではサージら州兵たちが軍から離脱、略奪を繰り返しながら安全な地を探していた。やがて州兵たちはパトリックと出会い、増え続けるゾンビたちから逃れるためともにプラム島を目指すのだが、そこでも戦闘が待っていたのだった。
(2009年 アメリカ/カナダ)
【独立した1本としては弱い】
本家ロメロによる新三部作の3本目。前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』との連続性が保たれているのは嬉しい(ただし前作を観ていなくっても大丈夫)ところ。
ゾンビ化した(またはする予定の)仲間や家族への想い、盗賊に墜ちる軍隊、結局は人と人との殺し合いへと収束していく終末世界……など、ゾンビ映画におけるオーソドックスなテーマに正面から取り組んでいることは評価できる。
人間時代の性格・特性がゾンビとなっても受け継がれる描写や、子どもを撃つことへの葛藤、ゾンビを手なずけることはできるのかというストーリー展開など「ゾンビ映画でのタブーへの挑戦」も見て取れる。
が、どれもこれも掘り下げ不足で軸がアヤフヤ、ぬぺぇっとお話が進んでいく印象だ。
その最大の理由は、州兵側のサージ、島民のパトリックとシーマス、パトリックの娘たち、そうした対立構図の頂点にいる人物たちのキャラクター設定がいい加減で、各人物が「どんな価値観に基づき行動し、何を目指しているのか」が曖昧になってしまっていること。
一応は「人と人とは争い、そもそもの対立理由も忘れて意地を張ってぶつかりあう」という分析が用意されているけれど、にしても、性格・立場と行動と帰結との関連が弱い。
演出・画面作りの点でも新鮮味があるわけではなく、「あまたのゾンビ映画の中の1本」というか、「TVシリーズの1エピソード」程度の軽さにとどまっているのが実情。
いまやフォロワーたちがさまざまなアイディアで面白いものを撮っているんだから、本家には、もうちょっと頑張って新機軸を鮮烈に打ち出してもらいたいもんである。
●主なスタッフ
撮影のアダム・スウィカ、SFXのマーク・アヒー、VFXのコリン・デイヴィス、スタントのマット・バーマンなど、前作『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』から引き続き起用されたスタッフが多い。
ほかでは編集が『スーパーマン リターンズ』のマイケル・ドハティ、プロダクションデザインが『ラースと、その彼女』のアーヴ・グレイウォル、特殊メイクが『スペル』のグレゴリー・ニコテロ、衣装が『ソウ』シリーズのアレックス・カヴァナー、音楽はB級TVムービー中心に活躍しているらしいロバート・カーリなど。
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