アンノウン
監督:ジャウマ・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン/ダイアン・クルーガー/ジャニュアリー・ジョーンズ/エイダン・クイン/ブルーノ・ガンツ/フランク・ランジェラ/セバスチャン・コッホ/オリヴィエ・シュニーデル/スタイプ・エルツェッグ/ライナー・ボック/ミド・ハマダ/クリント・ディアー/カール・マルコヴィクス/エヴァ・ラボー/ヘレン・ワイベンソーン/マルレ・ワイベンソーン
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【私はいったい誰なのか!?】
学会に出席するため妻リズを伴いベルリンへとやって来たマーティン・ハリス博士だったが、交通事故に遭って数日間意識を失う。目覚めた彼は曖昧な記憶を手繰って宿泊先のホテルへたどり着いたものの、リズは彼など知らぬといい、しかも「本物のマーティン・ハリス」と名乗る人物さえいた。自分は何者なのか、何が起こっているのか……。タクシー運転手ジーナとともに謎を追うマーティンに、身の危険が迫ろうとしていた。
(2011年 イギリス/ドイツ/フランス/カナダ/日本/アメリカ)
【雑な部分もあるがデキは良】
ただの不法移民であるはずのジーナがちょっと活躍しすぎたり、途中で真相がある程度読めてしまったりと“雑”な部分もあるのだが、全体としてはスマートにまとめてあって、最後まで興味を惹いたまま引っ張る。
上手いのは、お話の飛ばしかた。たとえばマーティンがタクシー会社にジーナをたずねる場面では「これこれの女性はいませんか」という部分を省略したり、探偵ユルゲンが彼らに電話などを手渡す際には「これで連絡を取り合おう」といったセリフはあえていわなかったり。
説明は最低限かつコンパクトに、必要なことは見せるけれど前後関係からわかることはバッサリ切る。頭の悪さが排され、リズムとスピード感をしっかり創出する作り。
加えて、回想のフラッシュバックによるミスリード、ゆっくり揺れてマーティンの動揺を示すカメラなど個々の見せかた・演出はシャープでわかりやすいし、多彩なアクションが用意され、役者たちはそれぞれの役柄をしっかりまっとうし、つまりはキッチリとした仕上がり。
まぁ前述の通り、やりすぎている部分はあるし、マーティンの心変わりなど“安い”展開でもあるけれど、ロストメモリー・サスペンスとしてはよくできたエンターテインメントだと思う。
●主なスタッフ
監督の前作『エスター』と共通するのが編集のティム・アルヴァーソンと音楽のジョン・オットマン。
プロダクションデザインは『ロックンローラ』のリチャード・ブリッジランド、衣装は『L.A.コンフィデンシャル』のルース・マイヤーズ、サウンドエディターは『ユナイテッド93』のオリバー・ターニー。
VFXには『ウルヴァリン』や『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』、スタントには『トランスポーター』シリーズに関わったスタッフが揃っている。
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