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2013/08/23

マイティ・ソー

監督:ケネス・ブラナー
出演:クリス・ヘムズワース/ナタリー・ポートマン/トム・ヒドルストン/ステラン・スカルスガルド/カット・デニングス/クラーク・グレッグ/イドリス・エルバ/コルム・フィオール/レイ・スティーヴンソン/浅野忠信/ジョシュ・ダラス/ジェイミー・アレクサンダー/レネ・ルッソ/アドリアナ・バラーザ/マキシミリアーノ・ヘルナンデス/ダコタ・ゴヨ/テッド・オールプレス/アンソニー・ホプキンス/ジェレミー・レナー/サミュエル・L・ジャクソン

30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4

【地球へ追放された神戦士】
 科学者ジェーン・フォスターが助けたのは、謎の男ソー。彼こそは9つの世界を統べるアスガルドの王子だ。アスガルドは、かつて氷の巨人から力の源「箱」を奪い地球を救った伝説の存在。ソーは絶大な力を持つ鉄槌ムジョルニアを携えて巨人の国ヨトゥンヘイムへ攻め込んだのだが、父王オーディンの怒りを買って地球へ追放されたのだ。ジェーンの研究に目をつけた軍の秘密機関SHIELDやソーの弟ロキらが絡む戦いが、いま幕を開ける。
(2011年 アメリカ)

【PART2的だけれど、そこそこイケる】
 序盤からクライマックス級のアクションを用意し、随所にユーモアを挟んだり緩急を上手くつけたりして、滑らかかつリズムよくストーリーを進めていく。完全に“いま風のアクション大作”のノリだ。そこに、ソーがジェーンを見下ろす&ジェーンがソーを見上げる視線をカメラアングルで再現するなど、細やかさも乗っけてくる。

 デストロイヤーやアスガルドの空と建物、異世界を繋ぐ橋「ビフレスト」などデザインワークも素晴らしく、VFXもさすがのデキ。
 町1つをブっ潰す勢いの終盤のアクションには生々しさもあって、アスガルドやヨトゥンヘイムのCGっぽさと好対照を成していい感じ。

 シェークスピア屋のイメージが強く、『スルース』ではお芝居映画から脱し切れていなかった監督としてのケネス・ブラナーだが、本作では意外と楽しませてくれる。

 引っかかるのは、なんだかPART2的な構成である点。ソーと仲間たちが凄い連中であることとか、弟ロキにソーを妬む心があるとか、そのあたりが“前提”として扱われているのだ。
 話の面白さに大きく関わってくる部分なので、このへんをしっかりと描いたPART1があるともっと楽しい「シリーズ」になったのだが。
 まぁそのぶん軽快さがあって、軽ぅく観られるエンターテインメントになっているのは確かだけれど。反面、実は「神の解釈」に挑んだ大胆なお話、という意味合いもあって、そのギャップも愉快だ。

 にしても、クリス・ヘムズワースやトム・ヒドルストンといったほとんど無名の役者を抜擢したり、かと思えばナタリー・ポートマン、ステラン・スカルスガルド、アンソニー・ホプキンスという大物を配したり、浅野忠信を呼んじゃったり(ほとんど「出てるだけ」に近い)と、クセのあるキャスティング(ケネス・ブラナーの起用だって、そうだ)。
 続編や『アベンジャーズ』もあるので主役はなるべく安く、けれどビッグネームも登場させてキャッチーに、いまいち反応の悪いアジア圏にも配慮しよう、そんなマーケティング戦略を見る思い。

 壮大なプロジェクトだけに、あれやこれや気を遣ってというか、ひょっとしたら「いろんなことが詰まったお祭にしちゃおうぜ」的な一種“ハイ”ともいえるスタンス、そんな感じで作られているのかも知れない。

●主なスタッフ
 脚本は『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のアシュリー・エドワード・ミラー、ザック・ステンツと『ザ・シンプソンズ』のドン・ペイン。撮影は『マンマ・ミーア!』のハリス・ザンバーラウコス、編集は『ハンコック』のポール・ルベル。
 プロダクションデザインは『ハットしてキャット』で監督を務めたボー・ウェルチ、衣装は『オペラ座の怪人』のアレクサンドラ・バーン。
 音楽は『カレンダー・ガールズ』のパトリック・ドイル、音楽スーパーバイザーは『アイアンマン』のデイヴ・ジョーダン。サウンドは『インセプション』のリチャード・キング。
 SFXダニエル・スディック、VFXウェズリー・シーウェルは、いずれも『アイアンマン』と同じ。スタントは『エラゴン』のアンディ・アームストロング、『アイ・アム・レジェンド』のヴィック・アームストロング。

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