ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島
監督:マイケル・アプテッド
出演:ジョージー・ヘンリー/スキャンダー・ケインズ/ベン・バーンズ/ウィル・ポールター/ゲイリー・スウィート/テリー・ノリス/ブルース・スペンス/ビリー・ブラウン/ローラ・ブレント/アナ・ポップルウェル/ウィリアム・モーズリー/シェーン・ランギ/アーサー・エンジェル/アラベラ・モートン/レイチェル・ブレイクリー/ティルダ・スウィントン
声の出演:リーアム・ニーソン/サイモン・ペッグ
30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4
【みたび魔法の王国へ】
戦争が続く中、エドマンドとルーシーは従兄弟ユースチスの家で歓迎されない生活を余儀なくされていた。ある日、ルーシーの家に飾ってあった海の絵から水が溢れ出し、兄妹とユースチスはナルニアへ渡る。カスピアンの話では全土に平和が訪れたというが、ならばなぜ彼らは呼び寄せられたのか。そこには絶対的な“悪”の氾濫、それを食い止めるための7本の剣、そして東の海にあるアスランの国という謎が深く関わっているのだった。
(2010年 イギリス)
【盛り上がりに欠ける】
主要キャストもライターも続投だけれど、第1作と第2作がディズニーだったのに対して今回はFOX製作。監督もアニメ畑のアンドリュー・アダムソンから大ベテランのマイケル・アプテッドにバトンタッチとなった。
結果は、失敗だと思う。
完全にダメダメというわけではない。
導入部から大きくカメラを動かしてスケール感を創出する撮影、前作までとの連続性をキープする美術や衣装、邪魔にならない音楽、特撮など、各パーツの仕事は水準にあるし、ロケーション力の大きさも感じる。
幾多の試練を潜り抜けて目標へ達するというストーリーは王道的で安定感があり、短いエピソードを連続させるとともに各人の関係も要領よく盛り込んでスッキリまとめてあるし、ルーシーの容姿が“あまりイケていない”ことにも意味を持たせてある。
が、盛り上がらないというか、ワクワクに欠けるというか。
短いエピソード+要領よく盛り込んだ各人の関係、というのは、裏を返せばバラっバラっとした展開で芯が通っていないということ。妻母をさらわれた父娘とか、なんとか卿とか魔法使いとか、山ほど新キャラクターは出てくるのに、得をしているのはユースチスだけ。「7本の剣をテーブルの上に揃える」という大目的のおかげで破綻にまでは至っていないものの、フォーカスの甘いお話だ。
また、いつまでたっても“エドマンドの迷い”に頼っているし、今回はピーターとスーザンが不在であるわけだが、その意味をエドマンドとルーシーが深く考える場面もなく、王と国の関係を当時のイギリスにオーバーラップさせる配慮もないから、全体としてテーマ性の浅さも感じる。
ストーリーだけでなく、描きかた、リズムの作りかたにも芯が通っておらず「ここが見どころ!」という迫力に欠ける。
まぁ退屈せず観られるといえば観られるのだけれど、ごちゃごちゃっと進んでプイっと終わる印象の強い仕上がりである。
●主なスタッフ
撮影は『パブリック・エネミーズ』のダンテ・スピノッティ、編集は『インクレディブル・ハルク』のリック・シェイン。
プロダクションデザインは『ウルヴァリン』のバリー・ロビンソン、衣装デザインは前2作および『スペル』のアイシス・マッセンデン。
音楽は『恋とニュースのつくり方』のデヴィッド・アーノルド、サウンドエディターは『007/慰めの報酬』のジェームズ・ボイル。
SFXは『かいじゅうたちのいるところ』のブルース・ブライト、VFXは『天使と悪魔』のアンガス・ビッカートン、スタントは『テラビシアにかける橋』のアラン・ポップルトン。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント