ストーン
監督:ジョン・カラン
出演:ロバート・デ・ニーロ/エドワード・ノートン/ミラ・ジョヴォヴィッチ/フランセス・コンロイ/エンヴァー・ジョカイ/ペッパー・ビンクリー/サンドラ・ラブ・アルドリッジ/レイチェル・ローセル/ピーター・ルイス/サラブ・カムー
30点満点中16点=監4/話2/出4/芸3/技3
【男と男と女と女の魂】
引退を間近に控える刑務所の管理官ジャック。足しげく教会に通う彼だったが、妻マデリンとの夫婦愛はとうに冷めており、信じるべき教えも見出せないでいる。そのジャックが担当することになったのは、反省の色など微塵も感じられないストーンという放火犯。が、次第にストーンは“神の音”に興味を持ち始める。いっぽうストーンの妻ルセッタはジャックに接近、体を使って夫の仮釈放を認めさせようとするのだった。
(2010年 アメリカ)
【映画としての密度はあるが】
基本的には、お芝居映画。
苦悩と怠惰と責任感が混沌とする中で暮らすジャック=ロバート・デ・ニーロと、狂気と暴力と静けさを操るストーン=エドワード・ノートンというオスカー級のふたりに、ミラ・ジョヴォヴィッチも美貌と愚かさと戸惑いとで真っ向ぶつかる。
舞台はほぼ3~4か所に限られて、たっぷりと3人(あとマデリン役のフランセス・コンロイも)を見せる作り。
でも、それだけに甘んじることなく、わざとテレビの前を横切る妻とか、ジグソーパズルとか、行動や日常会話から各キャラクターの人となりや知能までうかがわせる“描写の妙”のようなものも持つ。シーンへの音の乗っけかたも上手い。
内容としては「身勝手を許さない身勝手」によって破滅へと至る物語、といったところか。
ただ、正直、お話としての面白味はない。登場人物を絞って心理を描こうとした割にはジャックの内面を掘り下げる配慮に欠ける。
映画としての密度は濃いけれど、ストーリーは甘い仕上がりだ。
●主なスタッフ
撮影のマリス・アルベルチ、プロダクションデザインのティム・グライムスは『レスラー』の人たち。衣装デザインは『ボーイズ・ドント・クライ』のヴィクトリア・ファレル。サウンドは『ヒューゴの不思議な発明』のユージーン・ギアティ。
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