グリーン・ランタン
監督:マーティン・キャンベル
出演:ライアン・レイノルズ/ブレイク・ライヴリー/ピーター・サースガード/マーク・ストロング/ジェイ・O・サンダース/タイカ・ワイティティ/アンジェラ・バセット/ジョン・テニー/ディラン・ジェームス/ガトリン・グリフィス/テムエラ・モリソン/ジェフリー・ラッシュ(声)/マイケル・クラーク・ダンカン(声)/クランシー・ブラウン(声)/ティム・ロビンス
30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4
【宇宙を護る大いなる力】
不死の種族ガーディアンズが総べる惑星オアは、グリーン・ランタンたちの本拠地。彼らは意志をエネルギーとするグリーンのリング(指輪)を身につけ、宇宙を守り続けていた。だが恐怖をエネルギーとする邪悪な存在パララックスが蘇り、伝説の戦士アビン・サーが命を落とす。後継者としてリングが選んだのは、未熟な種族・地球人のテストパイロットであるハル・ジョーダンだった。ランタン抹殺を企てるパララックスが地球へと迫る。
(2011年 アメリカ)
★原作に関するネタバレを含みます★
【作りは手堅いけれど設定や物語が弱い】
監督は『007/カジノ・ロワイヤル』のマーティン・キャンベル、スタッフも一流どころを揃えて、ソツなくまとめてある感じ。
アビン・サーの逃げ足の速さなんか素晴らしいし、秘密研究施設の造形など細かなところにも意外と力を入れてあり、VFXも水準以上だ。
説明始まり&エイリアンうようよは『スター・ウォーズ』、逃げ惑う人々が食われちゃう場面は『宇宙戦争』、ラストのふわふわは『2001年』と過去のSFムービーを模倣するような作りも、割と好き。
そんなマスクじゃ正体なんか隠せねーだろ、というアメコミに対する禁じ手ツッコミを逆手に取ってしまう度量の広さもある。
ただ、ストーリーラインにはキズが目立つ。
ハルが抱える恐怖心と、それに対抗するための意志の強さを示すエピソード(父との関係)はもっと掘り下げられるべきだったし、幼少期から続くハルとキャロルとヘクターの関係も「ああ、カットしちゃったのね」と明らかにわかる部分。ハルの家族は何で出てきたかわかんない扱いで、ハルの親友だって見せ場はほとんどない。シネストロの内面も描かれず。
悪玉のラストもあっけなくって、コミックス10巻くらいの内容を無理やり2時間に押し込めちゃった気配がある。
役者陣では、クレジットを見るまで気づかなかったピーター・サースガードはさすがだと思うけれど、主役ライアン“目センター”レイノルズには華がないし(でも、この役にはハマってるかも)、ヒロインのブレイク・ライヴリーもインパクトに欠ける。マーク・ストロングは宝の持ち腐れ、ティム・ロビンスの起用ももったいない。
まぁ設定からして、意志vs恐怖とか、未熟な種族とか、指輪とか、全身タイツとか、主人公の成長とか、ありがち要素の寄せ集めっていうか、浅さを感じる代物。このあたりの練り込みかたについては日本のマイナー・コミックのほうが上手いんじゃないか。
そもそもグリーン・ランタンって、ヒーローとしてB級だよね。いや、初出が1940年ってことは本国ではそれなりに愛されてるのかも知れないけれど(大会のコスプレ参加者には必ずいそうだ)、設定やデザイン/ヴィジュアルはギャグっぽくて、あんまり熱心に観る気にはなれない。
Wikipediaを見ると原作ではハル=パララックスで、しかも「すべての悪と不条理を消すため、宇宙をゼロから作り直すことを画策。時空魔人エクスタントを操り、悲劇の原因となった時間をリセットしようとして『ゼロ・アワー』事件を引き起こす」なんていう展開があるんだとか。
そっちのほうがウケはいいんじゃないだろうか。
●主なスタッフ
TV畑のプロデューサー陣に『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』のマイケル・ゴールデンバーグが加わっての脚本。
撮影は『コラテラル』のディオン・ビーブ、編集は『バンテージ・ポイント』のスチュアート・ベアード、プロダクションデザインは『キング・コング』のグラント・メイジャー、衣装は『ザ・バンク 堕ちた巨像』のナイラ・ディクソン。
音楽は『フィクサー』などのジェームズ・ニュートン・ハワード、サウンドチームは『ブレードランナー』のペール・ホールバーグや『ソルト』のピーター・ストーブリら。
SFXは『スター・トレック』のクレイ・ピネイ、VFXは『世界最速のインディアン』のケント・ハウストン、『G.I.ジョー』のグレゴリー・M・マクマリー、『紀元前1万年』のカレン・E・ゴウリカス。
スタントは『アンストッパブル』のゲイリー・パウエル。
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