キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー
監督:ジョー・ジョンストン
出演:クリス・エヴァンス/ヘイリー・アトウェル/ヒューゴ・ウィーヴィング/セバスチャン・スタン/ドミニク・クーパー/トビー・ジョーンズ/ブルーノ・リッチ/ニール・マクドノー/デレク・ルーク/リチャード・アーミテージ/ケネス・チェ/JJ・フィールド/マイケル・ブランドン/スタンリー・トゥッチ/トミー・リー・ジョーンズ/サミュエル・L・ジャクソン
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【愛国の英雄、ナチの最凶科学者に立ち向かう】
ナチの科学機関ハイドラを率いるシュミットは、強力なエネルギー源「コズミック・キューブ」を手に入れて兵器化に成功、世界征服を画策する。いっぽうNYでは血清によって人工的に筋肉を増強する研究が進められ、アースキン博士が被験者第一号として選んだのは、愛国心あふれる若者スティーブ・ロジャース。虚弱な身体から一転、無敵のキャプテン・アメリカとして生まれ変わったスティーブは、仲間とともにシュミットと戦う。
(2011年 アメリカ)
【盛り上がりには欠けるが誠実】
ギガントだっ。いやアルバトロスだっ。超ド級爆撃機を飛ばしてしまうのは明らかにジョンストン監督のシュミだろう。
昨今のアクション映画の基準からすると派手な見せ場は少なめで、その見せ場までの時間は少々長め。それでも“もたせてしまう”のも、監督の手腕か。メタモルフォーゼ前のスティーブを描く序盤パートとか、後半でもアクション以外の場面が、意外と面白い。
ハワード・スタークの登場、北欧神話とコズミック・キューブ、血清による肉体改造など、他のマーベル作品との連続性をキープしたのがひとつのポイント。『アベンジャーズ』を中心として回ってる世界なんだから、こういう配慮でシリーズのファンをワクワクさせるのは、いいことだ。その「ほほう」とニヤニヤがあるから、やや地味な序盤でもダレない。
シリーズ他作品とは大きく異なる「第二次大戦という舞台」を用意し、もう悪の権化の代表格といっていい「ナチの科学者」をヴィランとして持ってきたのも、ワクワクのもとだろう。
弱々スティーブ、よく似た役者を起用したのかと思いきや、別の役者の身体にクリス・エヴァンスの頭を合成したんだとか。注射器など細かな美術ディテールに注力した印象も強い。そういう細部への手のかけかたが、安っぽさを生まないというか、地味なシーンをガチっと決めるための分別だ。
あと、いまの感覚でいえば奇天烈に思えるキャプテン・アメリカのコスチュームに対するエクスキューズ……そりゃ、お国のためだからと無理やり押し付けられたり、その後で本人が「意外と気に入った」という流れがなけりゃ着ないわな……があるのも正解。「女心がわかったら身の破滅」っていうのも、ちょっと作品からは浮いているけれど好きなセリフだ。
アクション部分では、メタモルフォーゼ直後の「ムキムキの身体を持て余している感」をサラリと示したのがいいセンスだ。また“軍隊との連係プレー”という戦いかたを提示したことも、個人主義の強いシリーズ他作品とは異なる魅力を生み出していると感じる。
そんなわけで、いろいろな部分が誠実に作られている映画。まぁ見せ場が少ないのは確かだし、全体を通じての「ぐぅわっ」という盛り上がりに欠けるのも事実だけれど。
●主なスタッフ
脚本は『ナルニア』シリーズのクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリー。撮影のシェリー・ジョンソンと編集のロバート・ダルヴァ、サウンドエディターのハウエル・ギブンズらは『オーシャン・オブ・ファイヤー』などで監督と組んでいる。もうひとりの編集は『アメリカを売った男』のジェフリー・フォード。
プロダクションデザインは『ウルフマン』のリック・ハインリクス、衣装は『オリバー・ツイスト』のアンナ・B・シェパード。音楽は『マウス・ハント』などのアラン・シルヴェストリで、音楽スーパーバイザーは『再会の街で』のデイヴ・ジョーダン、
SFXは『インクハート』などのポール・コーボルド、VFXは『センター・オブ・ジ・アース』のクリストファー・タウンゼント、スタントは『キック・アス』などのスティーヴ・デント。
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