キラー・インサイド・ミー
監督:マイケル・ウィンターボトム
出演:ケイシー・アフレック/ケイト・ハドソン/ジェシカ・アルバ/ネッド・ビーティ/イライアス・コティーズ/トム・バウアー/サイモン・ベイカー/ビル・プルマン/ブレント・ブリスコー/マシュー・マー/リーアム・エイケン/ジェイ・R・ファーガソン/アリ・ナザリー
30点満点中15点=監3/話3/出4/芸3/技2
【保安官助手の中の殺意】
油田で潤い始めた西テキサスの小さな町。ここで生まれ育ったルー・フォードは品行方正で面倒見のいい保安官助手として知られていたが、売春婦ジョイスと恋に落ちてしまう。ジョイスは町の実力者コンウェイの息子エルマーからも言い寄られているらしく、三角関係を知らぬコンウェイは、エルマーとジョイスを別れさせるようルーに依頼する。ルーの中ではある殺意が芽生えるのだが、彼の秘めた計画は思わぬほつれから意外な方向へと転がる。
(2010年 アメリカ/スウェーデン/イギリス/カナダ)
【芝居はいいけど中身は、ね】
脈絡のない殺意とか、シリアスな場面に軽快なカントリー・ミュージックを乗っけたりとか、いきなりの告白とか、「結局のところシリアルキラーがやっていることって、コメディだよね」という主張で作られた作品か。
が、殴りかたと殴られかたにリアリティがなかったり、とにかく各人の背景をすっ飛ばしたり(幼少期の回想はあるんだけれど、それを現在の人格形成と結びつけるような配慮はほぼナシ)して、要するに深みとか陰影のないまま、冷静かつ倒錯の境地で罪を重ねるルーの様子を淡々と描く。
デヴィッド・リンチをやろうとしたけれど無理だった、みたいな。
「太陽の光がもっとも明るいのは日没直前」
「雑草とは、意図しない場所に生えた植物」
ふわっふわっ淡々と進むだけなので、印象的なセリフも生きない。
収穫は、ジェシカ・アルバはやっぱ可愛いっていうのと、体当たりのケイト・ハドソンの女優魂くらいだろうか。
ウィンターボトム監督らしく、役者の芝居をじっくりと拾い上げる上手さはあるものの、編集が雑で面白味を作ろうという工夫にも欠ける仕上がり。
●主なスタッフ
原作は『ゲッタウェイ』などで知られるジム・トンプソン。『ストーン』の監督ジョン・カランが脚色。
撮影は『マイティ・ハート/愛と絆』のマルセル・ザイスキンド、プロダクションデザインは『ウォーク・ザ・ライン』のロブ・サイモンズと『パイレーツ・ロック』のマーク・ティルデスリー。衣装は『ウィッカーマン』のリネット・マイヤー。
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