パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉
監督:ロブ・マーシャル
出演:ジョニー・デップ/ペネロペ・クルス/ジェフリー・ラッシュ/イアン・マクシェーン/ケヴィン・R・マクナリー/サム・クラフリン/アストリッド・ベルジュ=フリスベイ/スティーヴン・グレアム/リチャード・グリフィス/グレッグ・エリス/ダミアン・オヘア/クリストファー・フェアバンク/ポール・ベイズリー/リチャード・トムソン/松崎悠希/ロビー・ケイ/ジェマ・ウォード/セバスチャン・アルメスト/ジュディ・デンチ/キース・リチャーズ
30点満点中17点=監3/話4/出4/芸3/技3
【伝説の泉を目指す悪党ども】
永遠の若さを得られるという“生命の泉”。その場所を突き止めたジャック・スパロウは、かつて裏切ってしまった女性アンジェリカと、その父で誰もが恐れる凶悪な海賊・黒ひげに捕まり、案内を強いられることに。彼らを付け狙うのはジャックの仇敵、いまや国王の手下と成り下がったバルボッサだ。さらにはスペイン王の船団も泉へと向かう。アンジェリカの願いやバルボッサの思惑が交差する中で、果たしてジャックの命は?
(2011年 アメリカ)
【まとまりすぎちゃった】
なんかこう、絵のスタイルとかスケール感がいままでとは違うなぁと思ったら『SAYURI』のロブ・マーシャルが監督だったのね。
そのせいか、全体的に“フツー”になっちゃった印象。
いや、悪くはない。むしろ、よくまとまっているんじゃないか。
ジャックとオヤジさんを登場させるタイミングとか、アイディア次第で馬車と馬との追跡劇がスピード感のある面白いものになるってことをわからせてくれたりとか、細かなカットの中できちんとうつすべきものをうつす丁寧さとかは、いずれも上等。場面に合わせた音楽でユーモラスに盛り上げる作り(これは前作までと同じ)も軽快だ。
とりわけ今回再認識できたのは、「やっぱ海って、世界共通の伝説とか謎とか怖さがあって、冒険の舞台としては素晴らしいよな」ということと「単純な対立図式じゃなくて、三つ巴、四つ巴にすることで流れに変化が生まれて面白くなるよな」ということ。
そうしたベースの上に、無理なく(いや無理はあるんだけれどね。牧師と人魚のエピソードは取ってつけた風で『必要なので入れました』的な匂いがありありだし、ロシアン・ルーレットの登場も唐突だし)流れよくお話が進んでいく。
ペネロペ・クルスは何を演っても変わらずキレイってのと、人魚のジェマ・ウォード(化粧品のCMに出てた、あのコなのね。最初は『こんな薄い役でアマンダを使うのか』とびっくりした)が可愛いのも眼福。
半面、小ぢんまりしちゃったというか、スッキリまとまりすぎてしまった感も否めない。
序盤から小さなニヤリをふんだんに盛り込むのはいいんだけれど、爆発的な笑いには乏しい。中規模な見せ場をいくつもいくつも用意して退屈させないのは立派だけれど、ドカンというクライマックスがない。オオダコとか亡霊みたいに「かないそうもない敵」の不在もスリルをスケールダウンさせている感じ。
前作までは、悪い意味での大雑把さとか風呂敷の広げ過ぎが、上手く“弾け”とか“ワケのわからん迫力と盛り上がり”につながっていたけれど、今回はそれがない。
IMDbのvoteを観ると、作を重ねるごとにポイントが下がって、今回が最低である模様。まぁそれも仕方ないかな、という印象。
●主なスタッフ
脚本や撮影など主要スタッフの多くは前作までとほぼ共通のメンバー。新規だと、編集が『ウォンテッド』のデヴィッド・ブレナーと音楽コンサート系の番組で仕事をしてきたワイアット・スミス。プロダクションデザインは『ドリームガールズ』のジョン・マイヤー、VFXは『ターミネーター4』のチャールズ・ギブソン。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント